テラーノベル
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「まだ泣いてる」
呆れたような言い方な気がして体が跳ねたけど
「目、冷やしとけよ」
戻ってきた勇斗が手渡してきたのはタオルにくるまれた保冷剤だった
こんなわけわかんないのに
まだ優しくされて余計に流れる涙
「…泣くなよ~」
慌てたように言う勇斗
やっぱり困らせてる
でも
「…はやと、やっぱり…隣に、いて…」
何も言わなくてもいい
隣に居て欲しかった
「最初からちゃんと頼れよ」
床に座り込んでいた俺の隣に座って頭をポンポンと撫でた
「そのために一緒にいんだろ 」
また流れる涙を止められなくて
「だから泣くなよ~」
と勇斗を更に困らせてしまった
ホントに何がこんな辛いのかもわかんなくてただひたすら泣いていた
「お前、一人の時間大事なタイプじゃん」
ゆっくりと、勇斗が話し出した
「なのにずっと俺と一緒に居るからちょっと疲れてる、なんてことないか」
「…そんなことない …一緒に居られて嬉しい」
そんなこと思ったことない
「…誰でもみんな自分のペースってもんがあるんだからさ」
勇斗はつぶやくように言った
「そりゃ俺帰り遅い日も多いし、仁人だけ仕事の時ももちろんあるし一人の時間がゼロってわけじゃないけど、 でも俺がいない間も俺のこと考えて色々してくれてるでしょ」
ちゃんと気付いてるよ
嬉しかったからやめて欲しくなくて言ってなかったけど
なんて勇斗が言った
「だから急にゼロに近くなっちゃったんだ
よ。 そりゃ、特に仁人みたいなタイプは疲れるんじゃない?」
「疲れてない」
「んーじゃ、疲れてはないでいいけど」
「…俺の事がどんどん嫌になるだけ」
「それってやっぱり俺のせいでしょ」
「そんなこと言ってない」
勇斗のせいじゃない
俺のせい
「もっと大事にしたい…」
「勇斗との時間も、勇斗の事も、生活も、全部」
でも、なんだかうまくいかない
「もうやだ…」
俺はぽつりとつぶやく
こんな俺が嫌だ
そんな俺に勇斗が口を開く
「…やめる?…やめたい? 」
「…やだ」
俺はムキになって子どもみたいな言い方になってしまった
「…絶対やだ」
嫌だ
「やめたいなんて言ってない」
本当に思ってない
「いやだ」
だから
「やめるとか言わないで…」
多分、それが俺は一番怖い
保冷剤を当てているからもう勇斗から多分涙は見えない
でも声が震えるのは隠せなかった