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これは、僕が見た【人魚】の話です。
「あいつ、いっつも女みたいに笑うよな」
ギャハハハハッ。
僕を笑うな。人よりちょっとだけまつ毛が長くて目がクリっとしてて、小柄なだけだ。僕だって男だし、人間だ。少しぐらい笑ってもいいだろ。
笑うならあいつにすればいいのに。いつも窓辺で外ばかり見てる…誰だっけ。
思い出した。「アグ」くんだ。
男子校だからひときわ目立つ長い綺麗な黒髪を、後ろに結んで、マスクをしている。左側だけ前髪があって左目が見えない。だから厨二病だと噂されている。
何故かいつも、不思議なオーラを放っているから誰も近づかない。僕も、あまり近づきたいとは思わない。
夏場の水泳はいつも見学してるし、合宿の時のお風呂だって1人だけで入っていた。濡れてる姿を見られたくないのだろうか。
なんにせよ、僕よりもからかえるだろ。
いつもどうりに、帰る準備をしていると、いつもいじってくる3人が来た。
「おい、お前俺らの掃除やっとけよ。」
「は?やるわけねぇじゃん。」
「口答えしてんなよ。とりあえず俺ら、用事あるから。じゃね〜。」
ガララララ、ピシャン。
言いたいことを言い出せず、扉がしまった。
自分のことは自分でするのは当たり前なのに、なんで人にやらせるんだろう。ただでさえ今日は何もなく帰ろうと思ってたのに。
「クソが…自分のことは、自分でしろよ。」
僕は雑に掃除を「一応」やっておいた。明日先生にでも怒られてしまえばいい。