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コメント
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わーー!!!🥹💗 吹奏楽の話めっちゃほんとにほんとに良かったです!!!もう大好きですまじで!!!! 私もつい最近Soloのオーディションがあって、凄い重ねて見てこっちまで緊張したし嬉しい気持ちにもなりました😽💗 1個の小説読んでるみたいでしたほんとに大好きです😘😘😘😘 初コメ長文失礼しました!
最強無敵連合が吹奏楽部だったらの妄想です
ニキ▶︎トランペット
しろせんせー▶︎クラリネット
りぃちょ▶︎パーカッション
キャメロン▶︎トロンボーン
18号▶︎テナーサックス
キルシュトルテ▶︎フルート
弐十▶︎オーボエ
シード▶︎バリトンサックス
はとね▶︎ユーフォニアム
みんな高3か中3か
モブのAが出てきます!
部屋の中に、オーボエを組み立てる音だけが響く。 俺の目の前にはフルートが置かれている。
半年ほど前だろうか、ミーティングで部員全員が集められ、顧問にパートリーダーが呼ばれる。
コンクールの自由曲だった。
フルートから順に木管が呼ばれ、金管楽器へと楽譜が渡されていく。
俺は初めに楽譜を受け取り、パートのメンバーに、1stと2ndをそれぞれ1部ずつ手渡す。
曲名を確認し、楽譜にひと通り目を通す。
「…あ」
楽譜の左上にsoliの文字を見つける。
ソリか…。
音はそれほど高くもなく、連符もなくて音を鳴らすことは簡単そうだった。
そんなことを考えていると、隣にオーボエのパートリーダーが戻ってくる。
「自由曲だね」
「な」
「なかなかムズいの選ぶなあんの顧問め」
「どれ……うわ連符えっぐ」
「トルテさん腕一本貸してくんね?」
「死ねよ。俺だって連符あるわ」
楽譜の難易度や、曲の雰囲気やらについて話しながらオーボエの楽譜に目を通していく。
しばらく読み進めてから、弐十くんの目線が1箇所に止まる。
そこにはsoliの文字。
「え、ソリだ。」
「弐十くん、弐十くん」
「ん?」
俺は弐十くんの名前を呼びながら、自分の楽譜を手に取る。
そして、1箇所を指さす。
「 …え!ソリじゃん」
「そ、フルートとオーボエ」
「まじか!結構嬉しいかも」
弐十くんは目を輝かせて、数秒して目線をフルートパートへと向けて、また楽譜に戻す。
「…オーボエは3年弐十くんだけか。」
「だね」
「じゃあ弐十くんか」
「分かんないよ〜?うちの後輩結構上手だよ?」
「お前自分の実力分かってんのかよ」
あははと軽く笑い、俺の目を見つめる。
「フルートは、トルテさんと、Aさん…。」
「…うん」
弐十くんは俯いて黙り込む。
まあ、結構難しいよな、こういうとき。
渋い顔をする弐十くんのおでこにデコピンをかます。
「…ッだ!?」
「あほ。」
「は???」
キョトンとする弐十くんに少々呆れながら、言葉を投げる。
「まあAも上手いけど、俺も上手いから。」
「…というか俺が1番上手いから。」
「だから、待ってろ。」
そう言ってもう一度デコピンをする。
「おい!だから痛いって」
「はははwwごめんて」
「…今日カラオケ行こ」
「は、急だな」
「練習するでしょ!」
そう言って、弐十くんは俺にデコピン返す。
「痛てぇよ!」
「俺その2倍やられましたけどー?」
「くそが、もう1回やるぞ。」
「うわー!トルテさんがいじめる!」
ワーワーと騒いで、楽譜が地面に舞い落ちる。
その時、顧問がパンパンと手を叩くのを合図に、音楽室に響く騒音が消えていく。
「今楽譜を配りました。来週から練習を始めるので、各自譜読み等をしておくように。」
はい、と全員の揃った返事が響き、ミーティングが進行されていく。
練習も何度か重ね、ある程度曲に慣れてきた。
ソリは、合奏毎に俺とAで交互に演奏する。
オーボエは毎回弐十くんが吹いていて、ソリは弐十くんで確定のようだ。
そして、今日は俺の日だった。
ソリの1小節前、体にピリッと電気が走る。
胸をあげて肺いっぱいに空気を入れて、腹筋に力を込める。
「一旦ストップ。」
ソリが終わったところで、顧問が指揮棒で指揮代をトントンと叩き、音を止める。
「クラはそこ音程合わせるように。」
「そこはホルンがもう少し聞こえるようにして」
各パートの動きについて、修正や補足を加えていく。
「次は…ソリ。」
俺の喉が、ごくりと音を鳴らす。
「フルート、いい感じでした。」
「その調子で練習するように。」
体に入っていた力がふわりと抜ける。
弐十くんに目を移すと、あっちもこちらを見ていたようで、目が合う。
弐十くんは口の端をあげてニヤリと笑った。
合奏後
「キルちゃん今日のソリ綺麗やったな。」
譜面台を畳みながら、不意にしろせんせーに話しかけられる。
「何急に。」
「いやなんでなん。褒めただけやろ。」
「わかる。前より上手くなってたよね!」
譜面を抱えながら18号も加勢してくる。
「そんな褒めても何も出ませんけど。」
「別に見返り求めとらんわ」
「でも、最後だもんね、コンクール。」
18号の「最後」という言葉に反応して胸の奥がじわっと焼ける。
「後悔のないように頑張ってね!」
そう言って、18号は譜面を片付けにその場を去る。
「最後やもんなー。」
「…うん」
「行けるって!キルちゃん上手いし、自信もって練習し」
「んー、ありがとうね」
そう言って笑いかけてくれて、俺も少し頬が緩む。
あれから数日、毎日練習をした。
個人練中にオーボエのパート部屋から弐十くんを引っ張り出して一緒に吹いたりもした。
せんせーと18号以外にも、ニキとか、りぃちょとか、みんな褒めてくれた。
ある日、俺とAはミーティング前に、顧問に呼び出された。
「自由曲のソリに関してだが、オーディションは7月2×日の合奏のはじめにやろうと思っている。」
「2人とも、大丈夫か?」
7月2×日、夏休みに入って最初の日だった。
俺とAは、はい、と揃った返事をした。
そして、今日がその日だった。
いつもは練習の30分ぐらい前に来るけれど、今日は1時間前には学校に着いていた。
練習時間を確保したいのもあるけれど、家にいても何だか落ち着かないので、気を紛らわすためにも早めに学校に来た。
音楽室を開けると、窓から朝日が差し込んでいて、バリトンサックスとユーフォニアムが輝いていた。
「お、キルくんおはよ。」
「ん、キルさん」
「おはよ。お前らだけ?」
「いや、数人来てるよ。みんな楽器出したり、廊下で吹いたりしてる」
「ふーん」
「聞いといてなんだよその返事」
俺の適当な返事にはとねが噛み付いて来たけれど、とりあえず無視して、俺も楽器を出しに行った。
楽器を出して、譜面台を組み立てる。
そうしていると、音楽室のドアから人が入ってきた。
「あ、トルテさんおはよう」
「うい、おはよう」
ドアを見た瞬間にちょうど目が合ったので、流れるように挨拶を交わす。
譜面台を組み立て楽譜を載せる。楽器を持って席につこうとした瞬間、俺の視界に拳が入る。
「…」
弐十くんは黙っていたけれど、言わなくても分かった。
今日だもんな。
「大丈夫、任せろ。」
そう言って、俺は弐十くんの拳に自分の拳をぶつけた。
「…待ってるね」
そう言って、弐十くんは口角を上げた。
合奏5分前、各パートの席に部員が座り、それぞれが音出しやチューニングを行う。
緊張で、下腹部がぐるぐる、くすぐったくなる。
俺はそれを逃がすようにへそあたりを左手で撫でる。
顧問が指揮台の前に立つ。
それを合図に楽器の音がパラパラと消えていく。
ゼロになったとき、部長のニキが声をあげる。
「起立」
「気をつけ、礼」
「「「お願いします」」」
チューニングをして、メトロノームに合わせて音階を吹く。
最後のB♭を伸ばしきり、みんなが口から楽器を離す。
「…ではまず、フルート。」
「キルシュトルテから、いけるか?」
「はい。」
教室の中がピンと緊張感に包まれる。
顧問が指揮棒を振り、それに合わせてオーボエが入る。
その音をよく聞いて、俺も休符のあとに入る。
楽譜のメモを頭の中で読み上げながら、練習を思い出し、一つ一つ指を動かしていく。
大丈夫、吹けている。
次は、全音符。指を変えて、頭部管に息を吹き込んでいく。
ヒュッ
音が、裏返った。
途端に頭が真っ白になり、唇が動かなくなる。
次の動きはなんだったか、どうやって吹くんだったか。
頭の中で必死に楽譜を追って、息を吐く。
フルートからは、ひゅ、ひゅ、とか細い音しか出ない。
音楽室は、オーボエの音だけに包まれていた。
「…次、A。」
その後、何があったかもう分からなかった。
相手の音がどんな音色で、どんな吹き方だったか、聴いている余裕も無かった。
「ソリは、Aに吹いてもらいます。」
合奏が終わる。
Aの周りには友人たちが集まり、おめでとう、頑張ってと声がかけられていた。
俺はそれを横目に、早歩きで楽器庫へ向かう。
早く、楽器を片したかった。
楽器ケースを乱暴に閉めて、楽器庫へ戻す。
とにかく、今はフルートを見たくなかった。
吹きたくなかった。
触れてしまったら、さっきの音を思い出してしまいそうで。
楽器庫の中で、ニキとすれ違う。
「あ、キル」
「…ん」
ニキは眉を下げて、少し困ったように微笑む。
「…おつかれ」
「……うん」
苦しかった。
明らかに気を遣っているのが、余計に。
拳を握り、掌に爪を立てる。
ミーティングを終えて、いつもはニキたちと戸締りをするけれど、今日は直ぐに階段を降りた。
早く、1人になりたかった。誰とも会話をしたくなかった。
校門を出ると、後ろから笑い声が聞こえる。
Aが肩に楽器をかけて、友人と歩いていた。
「……ッ!!」
一気に体が重くなる。
思わずうずくまって、地面を向く。
ぽつぽつと、コンクリートの黒が濃く染まる。
吹きたかった。
最後のコンクールでソリを吹きたかった。
大好きな相手と、
相棒と。
一緒に、吹きたかった。
「…ッグス、…ッは、…ゔッ……グズ」
悔しさが溢れて、涙が止まらなくなる。
身体中がビリビリと震えて、怒りと悔しさでいっぱいになる。
「……吹きたかった…っ」
気持ちを振り絞るように、呟く。
「吹こうよ」
背後から、声が飛んできて、振り返る。
右手にはオーボエ、左手にはフルートの楽器ケースを持っていた。
うずくまる俺に目線を合わすようにかがみ、左手を前に出す。
「カラオケ、行くよ」
部屋の中に、オーボエを組み立てる音のみが響く。
俺の目の前にはフルートが置かれている。
「…ほら、楽器組み立てて」
「…嫌だ」
「なんでだよ、ほら」
そう言って、弐十くんはフルートのケースを開ける。そのまま俺の両手を掴んで、ケースの前へ運ぶ。
そして、弐十くんはオーボエの組み立てに戻る。
俺も仕方なく運ばれた両手を動かして、フルートに触れる。
さっきまで吹いていたせいか、楽器は少しあたたかかった。
楽器を組み立て終えて、弐十くんが譜面を開く。
俺の分も回収していたのか、カバンからもうひとつの譜面を取り出して、俺の前に広げる。
「ん」
弐十くんが指を指す。
そこは、他のどこよりも書き込みがされていて、上部に“絶対吹く!!”と力強く書かれていた。
「ごめん。」
フルートを握りながら頭を下げる。
「なにが?」
弐十くんの声が響く。
いつもより数段高くて、優しい声。
「…ソリ、間違えた。」
「Aが選ばれた。」
「俺、任せろ、って、」
「言った、のに…ッ」
目頭が熱くなる。
胸が焼けるように暑くて、鼓動がどくどくと鳴っている。
「えいっ」
「……い゛っ!?」
額に、思い切りデコピンがかまされる。
思わず顔を上げて、視界に弐十くんが入る。
「待ってたのに。」
そう言って、くしゃっと笑う弐十くん。
それを見て、また涙があふれる。
「あーあー、泣いちゃった泣いちゃった。」
「…ぅ゛ああ゛……ッ、ごめ、ごめん…ッ」
「ちょ、いつもの調子はどこいったのー」
弐十くんは俺の背中を撫でながら、ガハハと笑い声をあげる。
暫くしても泣き止まない俺を見て、痺れを切らした弐十くんは、思いっきり掌を俺の背中へぶつける。
「いっっだ!?」
「今日は泣きに来たんじゃなくて吹きに来たんだって!」
「今ので涙引っ込んだわ!」
「え、良かったじゃん」
弐十くんはダブルリードを咥えて、俺に目配せをする。
はあ、と息をついて、俺もフルートを構える。
カラオケの中に、オーボエとフルートの音が響く。
細いけど太い、まっすぐでしなやかな音。
ふわりと広がる、芯のある音。
ふたつの音が合わさって、ひとつになる。
次は、全音符。
指を変えて、頭部管に息を吹き込んでいく。
1
2
3
4
思わず、弐十くんの方を見る。
弐十くんは、ダブルリードを口から離して、口の端を横に伸ばして笑う。
「ちょ、何離してんだよ!」
「あ、ごめんごめんwwww」
「お前さぁー」
「ごめんって!w」
「はあ…」
「もっかい!」
Fin
爱 . @ 新垢
桜奈