テラーノベル
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沖縄を日本に返却し、しばらくが経った。結局、あれから日本国が俺の元に訪れることはなかった。…正直、期待はずれだ。もっと食らいついてくると思っていた。
「(大日本帝国の自称子供といえど、あいつみたいに勇気と無謀を履き違えた馬鹿ではなかったんだな。)」
どこか悲しく感じた。何故だろう。あいつみたいな存在は、もう一生現れて欲しくないのに、なぜか日本国にあいつらしさを求めてしまっていた。
…忘れよう。どうせもう会うことは無い。
そう思っていたある日のことだった。
国際会議で、俺は国連と話をしていた。ここには俺と国連以外にも、フランス、親父、ドイツがいた。
彼らは俺には少々理解できない難しい単語を並べて、次々と会議を進めている。
「(…大国って大変だなあ。)」
「あ、そういえば…アメリカ君。日本国とはもう既に仲良しなのかい?そういえば、同盟国だっけ?」
「…日本国?」
「ああ、そうだ。あの子、来月から先進国として、この会議に参加してもらおうと思ってるんだ。本人から了承も得ている。君の名前を出した途端頷いたからさ。相当友好的な関係を築いているようで、感心だ。」
…得体の知れない感情が、込み上げてくる。俺を殺しにきたのだ。あの時のように。…不思議なことに、込み上げてきた感情は、恐怖や絶望でもなかった。ひたすらに、興奮が込み上げてきた。
「なあ、そいつ、どこにいるんだ?」
「え?…普通にこの階のどこかにいると思うぞ。後で話をするために呼んどいたから……」
「OK!𝘛𝘩𝘢𝘯𝘬 𝘺𝘰𝘶︎︎!」
「え!?ちょっと、まだ会議中!!」
国連の呼び止める声を無視し、俺は部屋を飛び出した。
「(見くびってたぜ。あいつ、本当にここまで来たんだな…!!)」
とてつもなく嬉しかった。理由は分からない。自分を殺そうとしてる奴がすぐそばにいるというのに、恐怖なんて感情は1ミリもわかない。殺されることを望んでいるわけではない。なのに、あいつがまた俺の元へ訪れたことが、とてつもなく嬉しかったのだ。
ドタドタとうるさく足音を響かせながら、廊下を猛ダッシュする。すると、どこか見覚えのある日の丸を持った国が奥に見えた。窓から夕日に照らされたオレンジの地平線を見て、黄昏ている様子だ。…どこかで、見たことある光景な気がした。
「(…あれは…もしかして、)」
「…おい、お前、日本国か?!」
そう大きめの声で呼ぶと、彼はゆっくりと振り返る。夕日に照らされ、オレンジみ溢れた赤眼を輝かせながら、彼はゆっくり振り返る。…どこかで見たことがある。
…最期に大日本帝国と関わった日、大日本帝国をこの手で殺めた日に見た。
日本国は、まるであいつの生き写しだった。あいつと、同じくらい美しい顔立ち。どことなく、不吉な運命の歯車が、回り始めた気がした。
「…日本国…日本国なのか?」
そう問うと、彼はニヤリと笑う。とても純粋な笑みには見えない。挑発的な笑み。
「確かに強くなって、戻ってきてやったぞ。アメリカ合衆国。」
コメント
4件
凄い!
うおぉ…かっけぇ…なんて言うか…ストーリーめっちゃ凝ってて好きです…!!語彙力が足りない…()