新しい知り合い
咲希said
あれから1年が経ってアタシ達は、2歳になった。
今日お兄ちゃんは、仕事に復帰するらしくて張り切って準備をしていた。
今日は撮影があるって言ってたからか脱ぎ着しやすいパーカーで行くみたい。
お兄ちゃんは、着替え終わった後キッチンに行ってアタシ達の朝ごはんを準備してくれた。
お兄ちゃんの近くによるとアタシの顔を見て頭を撫でてくれた。
「もう少しで出来るからな
あと危ないから待つならテーブルで待っていてくれ」
優しい声でそう言ってお兄ちゃんはまたフライパンの中を見た。
アタシは言われた通りリビングのテーブルの椅子に座った。
そこにはもうとーやくんも座ってた。
とーやくんは少し難しそうな本を真剣に読んでた。
「今日の朝ごはんはなんだろうね?」
アタシがそう聞くと、とーやくんは少し考えたあと本に栞を挟んで本を置いてアタシの方を向いた。
「司先輩は、トースターにパンを入れていましたし今はフライパンで何かを炒めているのでトーストと目玉焼きかウィンナーなどではないでしょうか?」
とーやくん、お兄ちゃんの事よく見てるなぁ
そんな事を考えてたらお兄ちゃんがお皿を2枚持って来てくれた。
「「ありがとう、つかさくん!/司君」」
「しっかり食べるんだぞ!」
にっこり笑いながらアタシ達にそう言って 自分のぶんの朝ごはんを取りにもう一度キッチンに戻った。
今ではもう当たりまえになったけど前までは、つかさくんと呼ぶたびに
「何故2人してオレの呼び方は“司くん”なのだ…?」
って不思議に思う事が多かった。
でも今はもう諦めたみたい。
「「いただきます!」」
お皿を見るととーやくんが言ってくれたようにトーストに目玉焼きが乗っていた。
一口食べてみるけど一口が小さくてなかなか黄身まで進めない
黄身に早く辿り着きたくて必死に食べていたらお兄ちゃんが声を出して笑った。
「ハッハッハッ!
咲希、美味しいか?」
「うん!美味しいよ!」
そう答えるとお兄ちゃんは、より笑顔になった。
お兄ちゃんは、次にとーやくんの方を向いた。
とーやくんはゆっくりフォークとナイフを使いながら優雅に食べていた。
「冬弥も美味しいか?」
「えっと…うん
すごく…美味しい、よ」
とーやくんは、お兄ちゃんに対してもアタシに対してもずっと敬語だったから結構ぎこちなくなっていた。
「美味しくなかったのか?
口に合わなかったら食べなくても良いんだぞ」
とーやくんのぎこちなさをおいしくなかったと勘違いをしたお兄ちゃんは、悲しそうにとーやくんに言った。
「いえ…いや美味しいよ! すごく!」
そう言って美味しそうにトーストを食べた。
本当に美味しそうな顔をしていた。
「そうか…美味しいなら何よりだ!」
お兄ちゃんは、とーやくんにそう言って自分のぶんの朝ごはんを食べ始めた。
「「ごちそうさまでした!」」
しっかり手を合わせて2人同時に言う
そしてとーやくんは椅子から降りて
「えと…咲希、服を着替えよう」
とーやくんは、そうアタシに呼びかけてくれた。
「そうだね!とーや…お兄ちゃん!」
やっぱりまだ慣れない…
とーやくんの事をお兄ちゃんって呼んだ事ないし、前は少しだけだったけどアタシの方がお姉ちゃんだったから不思議な気分だな…
アタシが椅子から降りて待っていてくれたとーやくんの隣に立つととーやくんは、そのままアタシ達の部屋に向かった。
部屋の中には二段ベッドと小さなテーブルに少し大きな棚、それとおもちゃ箱があるようなシンプルな感じだった。
アタシ達は自分が寝ているベッドの上で着替えるのが日課だった。
ちなみにアタシが上でとーやくんが下でベッドを使ってる
「とーやくん、着替え終わったら言ってね」
「はい。分かりました」
そんな会話をしてアタシ達は、着替え終わって 部屋からリビングに戻るとお兄ちゃんがソファーで台本を読んでいた。
アタシ達に気づいたお兄ちゃんは、近くに置いていたカバンを持ち上げた。
「2人とも着替え終わったな?
では、オレは行ってくる!
今日は穂波が来るからいつもの様に 良い子にしているんだぞ
あと自分達の部屋もキレイにしておくんだぞ」
お兄ちゃんは、そのまま玄関の方へ向かった。
残ったアタシ達は、ほなちゃんが来るのを待った。
冬弥said
俺たちは、司先輩が作ってくれた朝ごはんを食べた後司先輩が仕事に行くのを見送り、望月さんが来るのを待った。
その間俺たちは、司先輩に言われた通りに部屋の掃除をしていた。
掃除が終わり、しばらく暇になり俺は本を読み咲希さんは、鏡の前に座りヘアアレンジをしていた。
10分ほど経った後にチャイムの音がした。
俺たちは、玄関に向かった。
この家の鍵は2つで司先輩は、俺たちが開けやすい下のみ鍵を閉めてくれていた。
咲希さんが鍵を開けるとやはり望月さんがそこにはいた。
「お邪魔します。
2人とも、今日はよろしくね」
「「よろしくお願いします」」
そんな軽い挨拶を交わし俺たちは、自分の部屋に戻った。
望月さんの主な仕事は俺たちの面倒を見る事とお昼ご飯の準備 それから家事をサービスでやってくれるらしい。
今望月さんは、少し暇な時間かもしれない。
そう思った俺は、いくつか本を持って望月さんの所へ向かおうとした。
「とーやくん、どこ行くの?」
「今、望月さんが暇をしているのではないかと思っていくつか本を持って行く所でした。」
「じゃあアタシも行く!」
そう言って咲希は、自分用の棚から櫛と髪ゴム、ヘアオイルを持ってきた。
俺たちはそのまま望月さんの元へと向かった。
望月さんは、キッチンで冷蔵庫を開けて悩んでいた様子だった。
多分お昼のメニューを考えているのだろう。
今は、そこまで暇そうではなかったので 声だけをかける事にした。
「望月さん時間が空きましたらどうぞこの本を読んで時間をつぶしてください」
「ほなちゃん、時間が出来たらアタシに声かけて!
アタシほなちゃんの髪アレンジしたいから!」
望月さんは、俺たちにお礼を言った後昼は何が良いかを聞いた。
お昼は俺たちのリクエストでパスタを食べた。
司先輩の作るパスタは、家庭的な美味しさがあり好きだが望月さんの本格的な味も好きになった。
夜になり望月さんのスマホからもう直ぐ司先輩が帰ると連絡がされた。
俺たちは、司先輩が帰ってくるのを待った。
1時間ほどしてから司先輩は、帰ってきた。
それと同時に望月さんは、荷物を持って帰っていった。
玄関まで望月さんを見送ると 望月さんは、手を振ってドアをゆっくり閉めた。
そして俺たちは、リビングに戻りソファーに座った。
俺たちは隣に座った司先輩に色んな事を聞いた。
どんな撮影だったのか、久しぶりに復帰した感想などを詳細に聞いた。
それに対して司先輩は、一つ一つ丁寧に教えてくれた。
そしていつの間にか俺たちは眠りについていた。