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8月26日。
夏休みももう残り1週間を切った。
「浴衣姿楽しみにしてんじゃねーよっ」
「は、っそんなわけねえだろ」
「花火大会といえば浴衣だろ〜結構着てくる人多いよな?」
「多い多い、なんなら上岡も浴衣着てさ!そしたらもうカップルにしか見えねえって」
「はあ〜〜それはずりいだろ幡中さんと浴衣デートかよ〜〜それはもう手繋ぐくらいはするな!それか花火上がった瞬間にこう、、うわ〜〜」
「バカ言うな!勝手に妄想すんな…あ」
目が合ってしまった。
「、お疲れ」
「…あ、その、全部冗談だからまじで!そんなその、誤解すんなよ、、お前ら黙ってないでなんか言えよ!」
上岡の近くいた二人は苦笑いを浮かべていた。
「ご、ごめん幡中さん、変な話で盛り上がっちゃって」
「ただのノリだから、ノリ、、!」
「、、あ、そんなにはっきり聞こえてなかったし、大丈夫」
「そ、そっか」
上岡は微かにため息をついた。
その二人は、先に部室行っとくな、と言って去って行った。
「上岡浴衣着るの?」
「え、いや、まあ持ってはいるけど、、幡中は?」
「持ってる」
去年、花火大会前に玲花と一緒に選んで買った。
「、、着る?」
「うん、上岡が着るなら」
私がそう言うと、上岡は軽く笑ってわかった、と言った。
「でも去年ナンパされたんだよな」
20代前半くらいの2人組だった。でも少ししつこく声をかけられただけだったので、玲花と一緒に上手く回避した。
「浴衣なんて着たら危ないかもだけど、俺いるし絶対一人にしないから安心して」
「、、そんな心配してないよ」
「幡中はもっと自覚した方がいいよ」
聞いたことのあるセリフだと思った。
「、、あのさ」
すー、と上岡は軽く息を吸った。
「気持ち悪かったらごめん」
「?うん」
「前に何回か、幡中が誰か男子と帰ってるの見たんだけど」
爽やかな上岡、らしくなかった。
「眼鏡の、綺麗な顔してる人。多分体育で喋ったことあると思うんだけど」
「宇治?」
「宇治くん、か。名前初めて知った」
そういえば宇治は、上岡のことをいい人だとすごく褒めていた。
「その人は大丈夫?」
大丈夫って、なんだ。
「うん、友達」
「そっか。ごめん、ちょっと気になってた」
ううん、と少し口角を上げた。
「ごめん、今から部活だよな、頑張って」
「ありがとう」
夏休みが終われば元通りだろうか。
なんだか放棄しているようで忙しい気がして、
落ち着かない。