「あっ……と、あの、チーフは、どうしてミコ&リコが好きになったんですか?」
ついまた見惚れそうにもなってハッと我に返り、頭に浮かんだ思いつきを続けて尋ねた。
「そうだな……。ちょっと仕事で疲れていた時に、たまたま見て癒されるなって思ったのがきっかけで。あとはミコ&リコって、あの双児の彼女たち……橋元さんたちのことが連想されるだろ」
「……えっ?」と、チーフの言葉に口をつぐんだ。
そりゃ私も、ミコ&リコにアミとエミの二人を重ね合わせていたところもあったけれど、まさかチーフまでもがなんて……。
でもそれって、もしかして二人のことを、気にしていて──っていうこと?
押し黙る私を見て、「それに……、」と、さらにチーフが何かを言おうとしたけれど、
「あっ、私も、おんなじような理由ですから!」
そこで話を打ち切ってしまった──。ついさっき好きな気持ちを改めて自覚させられたばかりで、私にはそれ以上チーフの話を心穏やかに聞くなんてことは、到底出来そうになかった……。
──チーフと共に会社に戻って来たのはいいけれど、私は半ばぼんやりとして上の空だった。
こんなはずじゃなかったのにな……。
私ってば、本当に矢代チーフのことが……。だけどチーフは、アミとエミのことを……。
『あの双児の彼女たち……橋元さんたちのことが連想されるだろう』
チーフの口から漏れた言葉が、頭の中でくり返し響く。
チーフが好きなのは……、私じゃなくて、アミかエミのどちらかなのかな?
左右の二人の顔を横目に見て、ううん! と、ひとり首を横に振った。
矢代チーフは、ミコ&リコを連想させるって言っただけで、好きだなんてことはなんにも言ってなかったもの。きっと、違うよね?
だから、大丈夫──と、自分を納得させる。そうでもしないと、仕事が手につかなくなりそうだったから。
……だけど、言われたたった一言に、こんなにも思い悩んじゃうほど、私、チーフのことが好きになっちゃったのかな……。
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