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説明↓
舞台
古都・京都。
格式ある女学院「白鷺女学園」。お嬢様学校だが、裏では権力争いや派閥抗争が渦巻く。
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登場人物
• 篠宮 瑠璃子(しのみや るりこ/17)
学園の生徒会長。財閥令嬢で完璧主義。冷徹に見えるが、実は愛情に飢えている。
• 桐生 美咲(きりゅう みさき/16)
新入生。庶民出身だが才色兼備で奨学生に。瑠璃子に気に入られ、生徒会に引き込まれる。
• 橘 芹香(たちばな せりか/17)
副会長。幼少期から瑠璃子に尽くしてきたが、美咲の登場で立場を奪われ嫉妬に狂う。
• 御子柴 綾音(みこしば あやね/18)
生徒会OBで裏で学院の人脈を牛耳る「黒幕的存在」。瑠璃子の秘密を握り、美咲にも近づく。
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あらすじ
白鷺女学園に庶民の少女・美咲が入学する。
その聡明さと芯の強さに惹かれた瑠璃子は、彼女を「自分の隣に立つ存在」として側に置く。
しかし副会長・芹香は激しく嫉妬。
「ずっとあなたを支えてきたのは私なのに…!」
美咲を陥れるために陰謀を仕掛け始める。
一方で、学院を裏から操る綾音が美咲に接触。
「あなた、篠宮の真実を知りたくはない?」
――そこで明かされるのは、瑠璃子が“血塗られた財閥の秘密”を抱えていること。
美咲は瑠璃子を信じるべきか、それとも綾音に従い真実を暴くべきか。
芹香の暴走、瑠璃子の執着、綾音の策略が三つ巴となり、愛と憎悪の泥沼へと突き落とされていく――。
1話↓
第1話「白鷺女学園に咲く庶民の薔薇」
京都・東山の奥にそびえる「白鷺女学園」。
白壁と蔦に覆われた洋館のような校舎は、古都の権門令嬢たちの社交場でもあった。
四月――。
その門をくぐったのは、ひとりの新入生・桐生美咲。
父は地方公務員、母は小さな和菓子屋を営む、ごく普通の家庭。
しかし学業優秀、全国模試でも上位常連。奨学金を勝ち取り、この学園へ入学を許された。
美咲(心の声)
「まさか私が、こんなところに通えるなんて……。
でも、絶対に気後れしない。ここで未来を切り拓くんだ」
そう心に誓った瞬間、ざわめきが起こる。
廊下の奥から現れたのは――
漆黒の髪を結い、冷ややかな瞳を湛えた少女。篠宮瑠璃子。
学園の生徒会長にして、財閥の娘。
整った立ち姿に、生徒たちは自然と道を開けた。
瑠璃子は美咲の前で足を止め、鋭い視線を向ける。
瑠璃子
「あなたが……桐生美咲? 奨学生と聞いたけれど」
美咲
「は、はい。桐生美咲です。よろしくお願いします」
瑠璃子の瞳に、一瞬の光が宿る。
それは好奇心か、あるいは獲物を見つけた捕食者のそれか。
瑠璃子
「面白いわ。あなた、私の目に留まったの。
入学早々だけど――生徒会に顔を出しなさい」
その場にいた誰もが息を呑んだ。
会長自ら新入生を呼ぶなど、前代未聞だったからだ。
だが、その場の隅でその光景を睨みつける者がいた。
副会長の橘芹香。
長年、瑠璃子の右腕として仕えてきた彼女は、無言で唇を噛み締める。
美咲の存在が、静かな嫉妬の炎を灯した瞬間だった。
⸻
放課後。
美咲は、生徒会室へと足を踏み入れる。
深紅の絨毯、重厚な机。薔薇の香りが漂う空間。
瑠璃子は微笑む。
瑠璃子
「ようこそ、白鷺女学園の“心臓部”へ。
あなたは今日から、私の隣に座るのよ」
美咲は不安を覚えつつも、強く頷いた。
――彼女はまだ知らない。
この出会いが、やがて血と涙に塗れた“愛憎の泥沼”への第一歩であることを。