悪役に

桃赤　微青赤

曲パロ、学パロです 細かいことは気にしない方向きです

文化祭

それは高校生である俺達にとって年に一度の一大イベントだ

「じゃあ！俺らのクラスは悲劇のラブストーリーにきまりだな！」

実行委員の元気のよさそうな声につられて騒ぎ出すいつものうるさいクラスメイト

その少し離れた席でやれやれ、と言ったふうに賛成の拍手をおくる大人しめの生徒たち

うちのクラスは皆仲が良くて微笑ましい

投票で決まった台本は悲劇のラブストーリー

男子校であるわが校でラブストーリーということは男子生徒がヒロインをやるのだろうか…

そんなことをぼんやりと考えながら俺は隣の席に座る一人の生徒をみつめていた

さらさらな真っ赤の髪、よく手入れされた白い肌、きらきらと輝く真紅の瞳

すき、だな

赤「ないくんは、なににするか決めた？」

ふとこちらを向くきみ、

桃「へ……っ？」

間抜けな声を出してしまい、急いで黒板へ目を移すとそこには役割らしきものが書かれていた

赤「あ、さては話聞いてなかったな～？優等生がそんなんでいいの～？」

桃「もう……そういうりうらは決まったの？」

からかうように聞いてくる彼に純粋に気になったことを聞いてみる

赤「ん～……りうらはまだ決まってないかなぁ」

赤「まぁふつうに裏方とか…」

桃「あれ、舞台立たないの？」

その質問にうーんとうなるりうら

演技とか上手そうなのに

軽音部でライブもやってるし人前が苦手ってわけでもなさそうだし

赤「だって、やるのって恋愛モノでしょ？」

赤「なんかちょっと照れくさいっていうか…」

赤「あ、でもちょっとした役ならでるのもありかな～」

「りうらはヒロインちゃうん？」

ふいに聞こえてきたその声

りうらの頭にぽんぽんと手をおいてりうらをからかうのは長身の青髪の男、通称まろ

赤「はぁ？そっちがやったら？」

ちっちゃいしちょうどいいやん、ちっちゃくないわ！などと隣で二人が楽しそう(？)に話し出す

さっきまで、俺と二人で話してたのに…

なんてちょっと女々しいことを思ってしまう

「おいお前らはなしきけ～！」

「ヒロインやりたい人はいますか？」

実行委員の言葉に一瞬静かになるクラス

だがすぐにお前がやれよ～などの声で騒がしくなる

まぁこうなることは予想してたけど

発案者誰だよ

「うーん、仕方ない…ここはくじできめるか」

---

「じゃあくじ引きの結果、ヒロイン役はりうらくんで」

赤「なんでだよぉぉ……」

青「いいやん、似合ってるよ」

赤「ころす…」

クラスメイト全員参加のくじ引きで当たってしまうなんてりうらは相当運が悪いらしい

りうらがヒロイン役か…きっと似合うんだろうな

てことは、この中の誰かがりうらと…

「じゃあ、主人公やりたい人いませんか」

誰も名乗り出なそうな空気

この台本の主人公は、りうらと結ばれる

なら……

桃「誰もいないなら…っ」

「誰もいないならいふでよくね？」

「お前くじ引きしたくないだけだろ」

「いやでも、適役っしょ」

…適役か

優しく寄り添ってヒロインの心を奪ってしまうかっこいい主人公

「いふはどうなの？」

青「俺…？まぁ、だれもいないんならなってもええよ」

「誰かいるー？」

たしかに、この主人公はまろに適役だ

そう思ってしまったから名乗り出るなんてことできなかった

「じゃあいふで決まりでいいか」

「さんせ～」

クラスメイトたちの賛同の声

当然の結果だと、納得してしまう

まろは頭も良くて容姿も整ってるしスポーツも人間関係も、何をとっても完璧と言っていい

俺だって、勉強ができないわけではないしスポーツもそこそこできる

容姿だって気を使ってるし…

だけど、何かでまろに勝てたことなんて一度もない

だったら……

「じゃあ悪役やりたいひとは～……」

桃「俺、やってもいい？」

赤「えっ、ないくん…？」

「他にいなそうだから、ないこで決定ね」

「次は～……」

着々と役割を決めていくクラスメイトたち

ふいにまろに話しかけられる

青「なんか珍しいな、ないこがこういうんやるの」

桃「……そうかな」

桃「…やっぱせっかくの文化祭だし、と思って」

青「ふぅーん……」

この役は、主人公の次にヒロインとのシーンが多い役

そして、ヒロインを傷つける嫌われ者の悪役

どうせ結ばれないなら…なんて考える俺は、きっとこの役にぴったりだろう

演じてやろうじゃないか、最低最悪な俺を

To be continued…