テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
私、雨野すずねは、彼氏と親友の浮気現場を目撃した。
「亜依はホント可愛いよなw 真面目でつまんないアイツとは大違い。亜衣と付き合いてーw」
「やめてあげなよーw 可哀想でしょ?」
『自分は浮気をしてます』と供述するかのような言葉を発している私の彼氏の辰巳。
私をけなす言葉と浮気宣言に同意しながら、私をあざ笑う私の親友の亜衣。
二人の裏切りを目撃してしまった私はその場に座り込んだ。
委員会だからと先に帰るよう言われたけど、職員室に用があって学校に残っていた。
暗くなってきたからと、焦っていたせいか迷子になっていた。
困っていたら、空き教室に入る亜衣と辰巳を見かけて、教室に入ろうと覗いたら、抱き合ってキスをしている二人を見た。
私はその場から駆け出した。
見たくなかった。 知りたくなかった。
いつからなの? それに、告白をしたのは辰巳からだよね?
付き合ったことを一番に報告して、亜衣は自分のことのように喜んでくれたよね?
全部、嘘だったの?
頭が真っ白で、廊下を走ってはいけないなんてことよりも、疑問の答えを求めている。
私はいつから、ああやって笑われていたの? 二人は私のことを、ちゃんと見てくれていたの?
二人は私のこと、どう思っていたの?
私はッ大切な人だと思っていたよ。親友として、彼氏として。
「おわッ」
「キャッ」
そんなことをぐるぐると考えていたせいか、まわりが見えていなかった私は、人とぶつかってしまった。
「ごめん、なさい」
本当、今日はダメな日だ。
震えた声で謝罪をし、その場から逃げるように背中を向けた。
「ッ待て」
手首を掴まれ、引き寄せられるように腕の中に納まった。
「えっと・・・」
声をかけようとすると、後ろから足音が聞こえた。
「こっち」
空き教室に逃げ込むように入り、足跡は通り過ぎたことを確認してから、私は文句を言おうと顔を見上げた。
「え、晴斗・・・?」
驚きで涙は引っ込み、さっきまでの強引な態度にも納得がいった。
「まったく、先輩をつけろよな。」
晴斗は、小学生の時に引っ越した、一つ上の幼馴染。
泣き虫な私を引っ張って、元気づけてくれた兄みたいな存在。
いじめられていたら、いつも絶対に助けに来てくれるヒーローだった。
「久しぶり。泣くなら、感動の再会のことだけでいて欲しいんだがな」
私の涙をそっとぬぐい、もう一つの手で頭をわしゃわしゃと撫でまわす。
「ほら、胸貸すから。好きなだけ泣いていい。そのあと、聞いてやるから。」
私は晴斗に甘え、涙が枯れるまで泣いた。
晴斗から伝わるあたたかさが、ここちよかった。