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(場所:夜の編集部・静かになったフロア)
「……monちゃん、そんなに熱心に僕を見てどうしたの? 僕の顔に、解けない難問の答えでも書いてあった?」
ymmtが、キーボードを叩く手を止めて、隣のデスクのmonに微笑みかける。その口元には、いつものように「相手がどう反応するか」を先読みして楽しむような、年上らしい余裕が浮かんでいた。
ymmtは、何を言われても軽やかなジョークで返し、monを翻弄するのが上手い。monにとって、その掴みどころのなさは、憧れであり、同時に最も「敵わない」と感じる部分だった。
mon『……見つかりましたよ。ymmtさんが今、わざと僕をからかって、僕の反応を観察してるっていう「答え」が』
ymmt「あはは、正解! さすがmonちゃん、よく見てるね」
ymmtは、年下のmonを可愛がるように目を細める。その態度はどこまでも飄々としていて、monがどんなに近づこうとしても、一枚の透明な壁で隔てられているような感覚があった。
mon(……本当に、この人には一生敵わないのかな)
monは小さく息をつくと、意を決して椅子を引き寄せ、ymmtのすぐ目の前まで身を乗り出した。冗談の通じない、真っ直ぐすぎる瞳で年上の男を見つめる。
mon『ねえ、ymmtさん。そうやっていつもはぐらかしますけど、僕は冗談で言ってるんじゃないんです』
ymmt「……ん?」
ymmtの動きが止まった。いつもならすぐに飛んでくるはずの小粋な返答が、monのあまりにも純粋な熱視線に遮られる。
mon『僕は、ymmtさんが思っている以上に、本気なんですよ。からかわれるのも、振り回されるのも、ymmtさんと一緒にいられるならどうでもいいんです。……僕は、ymmtさんのことが大好きなんです』
嘘も、比喩も、クイズプレイヤーらしい捻りもない。 真っ直ぐに心臓を射抜くような、年下らしい無鉄砲で誠実な言葉。
ymmt(…………。……あー、それ、反則だわ)
ymmtは、自分の中に張り巡らせていた「余裕」という名の防壁が、ガラガラと崩れ落ちるのを感じた。 翻弄して楽しんでいたはずなのに、気づけば自分の方が、逃げ場のない真実に追い詰められている。
ymmt『……monちゃん。……君さ、そういうこと、さらっと言うよね……。……僕が用意してた面白い返し、全部どこか行っちゃったよ』
ymmtは片手で顔を覆い、耳先まで赤くして俯いた。いつも誰よりも喋る彼が見せる、初めての「沈黙」と「敗北」。
mon『……ふふ。ymmtさん、顔、真っ赤ですよ?』
ymmt『……うるさいなぁ。……いいよ、もう、僕の負け。……敵わないね、本当に』
ymmtは観念したように笑うと、今度は自分から、少しだけ強引にmonの頭を撫でた。 いつも翻弄しているつもりのymmtと、翻弄されているつもりのmon。 結局のところ、二人は互いの引力に、とっくに降伏し合っているのだ。
(おわり)