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ついに言った〜!どんな反応が来るんだろ〜!
かくの上手でとっても状況が頭に浮かんできます!!千早と藤堂の関係とかもうだいすきです!!!
待ってましたー!✨️ 今回も最高過ぎました😭
藤堂「お邪魔します…」
千早「どうぞ。あぁ、そこにスリッパあるので使ってください。あとキッチンは手洗ってから入ってくださいね。」
相変わらずだな…。と呆れている反面、俺の気も知らずにいつも通り接する千早に、どこか安心感を覚えていた。そりゃそうだ。こんな邪な気持ちで家にあがられてるなんて知ったらどうなる事か。用意されたピカピカのスリッパを履いてそのまま洗面台へ向かった。小手指野球部のみんなで何度か遊びに来ているので、家の間取りは何となく分かっていた。手を洗おうと鏡の前に立つと、そこには見たことないくらいに口角が上がっている自分がいた。
藤堂(き、気持ち悪ぃ…。こんな顔して今まで千早と…?)
さっきまでどんな会話をしていたか記憶を辿るが集中して話していなかったせいで全く思い出せない。とにかく顔をどうにかしようと思い、手を洗うついでに顔に水をかけた。さっきよりはだいぶマシだが、まだ頬の筋肉が痙攣しているのが分かった。ただこれ以上千早を待たせる訳にも行かないので、諦めてキッチンへと向かった。
千早「遅かったですね。藤堂くんの事なので2秒で帰ってくるかと思ってました。意外と丁寧なんですね。」
藤堂「俺をどんだけ雑な人間だと思ってんだ?」
千早「ふっ、冗談ですよ。ご飯作ってくれるんですよね?俺も何か手伝いますよ。」
藤堂「えっ、いやいやいいって。千早は座って待ってろよ。それか風呂にでも…」
千早「何言ってるんですか。全部任せるわけにいきませんよ。」
そう言うと千早はシャツの袖をまくり、何をすればいいですか?と聞いてきた。作る気満々の千早にこれ以上他の事を勧める気にならなかったので、仕方なく米を炊いてくれと頼んだ。おもくそ千早を意識しているこの状態で、果たして無事に料理を進めて行けるか不安はあったが、とりあえず怪我だけしないようにしようと、心の中でため息をついた。
ふたりだけの空間に野菜が切れる音と、米と水が混ざる音が響いていることに、若干の心地良さを感じていた。あまり料理はしないのだろうか。千早は慣れない手つきで米を研いでいた。細い腕と比較的小さい手で米を洗っているその姿は、藤堂にはとても愛らしく思えた。
なんとか理性を保ちながら調理を進めていき、無事(?)に作り終えることが出来た。正直に言うとかなり危なかった。どれくらい危なかったかと言うと、調理中千早を横目で見すぎて結構本気で大丈夫かと心配された位だった。仕方ないだろう。所作一つ一つが可愛くてたまらなかったのだから。こっちの身にもなって欲しいもんだ。こんなの生殺しだろ。そんな事を考えながら、2人で作ったカレーライスをテーブルに並べていく。
千早「では食べましょうか。」
藤堂「おう。」
2人「いただきます。」
千早は早速カレーライスを口に頬張った。意外と一口が大きかったのか、口に運ばれたカレーは千早の頬をパンパンにしていた。中々美味しいですね。と一言。千早の満たされた顔を見て、藤堂は幸せを噛み締めていた。体は華奢なのに大食いなところとか、美味しいと口に出して言ってくれるところとか、ご飯粒一つ残さず平らげるところとか。その全部を自分だけが見て独占しているのかと思うと、藤堂は一層千早のことを愛らしく思った。
同時に、やはりこのままでは居られないと思った。感情を隠しながらずっとこのままの関係でいることがどれだけ辛いことか。それは自分にも千早にも失礼で、とても苦しいものだと。千早の返事が怖いのでは無い。またやりきれずに後悔したくないと、そう思っているのだ。
藤堂は持っていたスプーンを皿に置き、千早と改めて面と向かった。これまで見せたことのないような藤堂の真剣な眼差しに、千早は多少圧倒されながらも藤堂と向かい合った。
千早「どうしたんですか、そんな顔して。」
藤堂「千早、聞いて欲しい話があるんだ。」
俺は、千早が好きだ。