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成立済み
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🐱side
もりくんはいつも褒めてくれる。
hd「今の言い方いいね」
「その笑い方好き」
最初はそれが嬉しかった。
だってちゃんと見てもらえてる気がしたから。
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付き合い始めた頃もりくんはよく言った。
hd「ゆうまはさ」
「素直で、空気読めて、優しいところがいい」
その言葉を聞くたびに 胸があったかくなった。
ym(俺、ちゃんと好きでいてもらえてる)
そう思えた。
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でも、少しずつ。
hd「その言い方はゆうまっぽくない」
「無理に前に出なくていいよ」
否定じゃない。
怒ってもいない。
ただ “理想から外れた”みたいな言い方。
気づいたら話す前に考えるようになってた。
ym(今の俺、もりくんの好きな俺かな)
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楽屋で少しはしゃいだ日。
テンションが上がって冗談を言いすぎた。
もりくんは笑わなかった。
その代わり目を伏せて言った。
hd「……疲れてる?」
それだけ。
なのに胸がきゅっと縮む。
ym「ごめん」
また謝っていた。
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褒められるときは決まって同じだ。
hd「大人だね」
「聞き分けいいよね」
「ゆうまはそういうとこがいい」
その言葉をもらうために俺は少しずつ自分を削っていった。
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ある日思ったことを口にした。
ym「俺さ」
「たまにはわがまま言ってもいい?」
一瞬の沈黙。
もりくんは困ったように笑った。
hd「……ゆうまは そんなこと言わなくていいよ」
優しい声。
でも扉が閉まる音がした。
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その日から距離が少しだけできた。
責められない。
喧嘩もしない。
ただ話しかけられる回数が減る。
目が合う時間が短くなる。
ym(嫌われた……?)
怖くなって俺は元に戻ろうとした。
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ym「やっぱり俺が悪かった」
「もりくんの言う通りでいい」
そう言うと彼は安心した顔をする。
hd「それでいいよ」
——“いいよ”。
許可みたいな言葉。
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それからはうまくいった。
褒められる。
撫でられる。
隣にいられる。
でも鏡を見るたび思う。
ym(これ、誰だっけ)
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ある夜眠れなくて聞いてみた。
ym「ねえ」
「俺のこと、好き?」
もりくんは即答した。
hd「好きだよ」
そして続ける。
hd「ちゃんと“ゆうま”でいてくれるから」
……ちゃんと。
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俺はいい子でいればいい。
そうすればここにいられる。
もりくんが好きなのは俺じゃなくて。
もりくんの中にある “理想の俺”なんだって分かってても。
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それでも今日も俺は頷く。
だって “そうしてる間は愛されてる”から。