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グリルタ
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翌日、晶子がカンナの英語の勉強を手伝う最初の日、都立高校入試の過去問集をカンナにやらせてみた。
百点満点で見事に点数が一桁という結果になった。晶子も頭を抱えてしまった。
「ううん、さすがにこれは何とかしないとね」
「しょうがねえだろ、あたいは晶子みたいに頭良くないんだから」
「わりと日常会話みたいな文章出るんだね、都立の試験は。ねえカンナ、たとえば『お掛け下さい』って言葉あるよね」
「椅子とか席に、とか?」
「うん、そういうのを英語で何と言うかとか……」
「プリーズ・ビー・スィーティッド」
「え?」
「違ってた?」
「ううん、合ってる。ちょっと待って」
晶子はノートに「Please be seated.」と大きく書いてカンナに見せる。
「カンナ、これ何て読むか分かる?」
カンナは眉間にしわを寄せてじっとその文字を見つめ、頭を振った。
「プレアセ……ビー……だめだ、あと分かんねえ」
「カンナたった今言ったじゃない。これが『プリーズ・ビー・スィーティッド』だよ」
「え? そうなのか?」
その後晶子はいくつかの短い英文をノートに書き、日本語の意味をカンナに伝えてみた。カンナはほぼ正確に、その英訳を口にした。発音も晶子の知る限りでは本格的な物だった。
「カンナ、その英語の言い方どこで習ったの?」
「習った事なんかねえよ。ほら、あたい、浅草で外国人観光客の道案内してたじゃん。あれ長い事やってるうちに何となく覚えただけ」
「そうか!」
突然晶子が叫んだ。いつもは何があっても動じないカンナは珍しく青い顔になった。
「どうかしたのか、晶子?」
晶子はノートの白いページを開いてカンナに差し出す。
「カンナ、アルファベットを全部そこに書いてみて」
「え、何だよ突然」
「いいからやってみて」
カンナがしぶしぶシャーペンでアルファベットを書き込んでいく。だが、半分ほど終わったところで投げ出してしまった。
「ダメだよ晶子。あたい英語できないんだって」
だが晶子はパッと明るい表情になって、身を乗り出してカンナに告げる。
「やっぱりそうだ。カンナはアルファベットをちゃんと覚えていないだけで、英語は結構できるんだよ。どうしてアルファベット全部覚えてないの?」
「中学入ってすぐに、おたふく風邪にかかって2週間欠席したんだ。その間に英語の授業の、アルファベット習う期間過ぎちまってさ」
「補習とかやってもらわなかったの?」
「公立の中学にそんなもんあるわけねえじゃん。一度落ちこぼれた奴はほったらかしだよ」
「じゃあカンナ、これから試験の日まで、アルファベットの読み方、書き方を一からやり直そう! アルファベットさえちゃんと覚えれば、カンナは英語そこそこ出来てるんだよ」
「そ、そういうもんなのか? じゃあ、頼むぜ晶子先生!」
コメント
1件
第25話読み終えた〜!✨ カンナがまさかの「アルファベットだけ覚えてない」ってオチ、晶子の気づきが天才すぎる😭 浅草での道案内で英語身につけてたのカッコよすぎだし、逆に中学の頃の置いていかれ感が切なくて……。そこに気づいて「一からやろう!」って言う晶子、ほんと優しい。2人の勉強風景、これからも応援したくなる回だったよ!📚💕