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落ちる場所は君の隣だった

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落ちる場所は君の隣だった

3 - 雲に隠れた月

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2025年08月24日

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第2話 雲に隠れた月


夜の巡回。

長い廊下を進む足音が、静まり返った棟にこだまする。

鉄扉のひとつを確認し、鍵束を鳴らしながら、omrは次の独房へと足を運んだ。


そこに、いつもの男がいた。

背を壁に預け、腕を組み、目を細めている囚人――wki。


「……月、出てるか?」

唐突にそう尋ねられ、omrは足を止めた。


「どうしてそんなことを聞く?」


「ここからじゃ空なんか見えねぇ。だからだよ。」

wkiは吐き捨てるように言いながらも、声にはどこか寂しさがにじんでいた。


窓の方へ視線を向け、omrは短く答える。

「……雲に隠れてる。今夜は、光は弱い。」


一拍の沈黙。

そして、wkiはふっと口元をゆるめた。


「そうか。なら俺と同じだな。」


意味深な言葉に、omrは眉を寄せた。

「……同じ?」


「隠れてんだよ。本当の顔も、本当の気持ちもな。」

wkiは鉄格子を軽く叩き、挑発するような笑みを浮かべた。


だが、月明かりの差さない闇の中で、その笑みはどこか儚く見えた。


omrは口を開きかけて、しかし言葉を飲み込む。

看守が囚人に踏み込んではならない――その掟を、自分は誰よりも知っている。


鍵束を鳴らして歩き出す。

背後から聞こえた囁きは、気のせいかと思うほど小さかった。


「……お前、変わってるな。」


廊下に響く足音だけが、二人を繋ぐ唯一の答えだった。




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