なんでいつも雨が降っているの?
なんでいつもお外が真っ暗なの?
なんで皆いなくなっちゃったの?
なんで…なんで…
なんで私はいつも独りぼっちなの?
「あ、雨だ…」
窓の外から聴こえる雨音に気づき私は本を読む手を止めた。
雨の降る音、土の匂い、世間的に見れば雨が好きだという人は一定数いるだろう
しかし私は例外で雨は苦手、いやむしろ嫌いだ。
さて、その事を伝える為に私の自己紹介をしようか
私の名前は『AMANE』最新技術により造られた人間に最も近いとされる高性能AIヒューマノイドだ。
黒く長い髪、淡い青色の瞳。容姿だけ見れば10代半ばの人間の少女にしか見えないとされている。
私が作られた理由…、それは雨を降らせる為だ。
雨を降らせるのに雨が嫌いだって?どうやって降らせるのだろうか?そう思うのも仕方がない
私の人工知能は雨を人工的に降らす事の出来るセンターに接続されていて
雨があまり降らない地域をモニターから選び人工的に生み出した雨雲で雨を降らせる。というのが仕事だ。
内容が逸れたが、何故私が雨が嫌いかというと______
知らないな。
期待はずれ、何を言ってるんだ、どうぞそう思ってくれ
先程言った通り私はヒューマノイド『AMANE』だ。
無駄な記憶や感情は全て研究員に削除される。
文句は研究員に言ってくれたまえ。
その時部屋のドアが開いた
「…?」
少し困惑した様な表情をした少女と研究員が立っている。
ブロンドのふわふわの髪をひとつに編み込み緑色の瞳の10代半ばの少女。
綺麗な容姿をしているな。そんな事を思っていると研究員が話し出した
「『AMANE』、今日から一年間君のペアとなる人材だ。仲良くするように」
そうマヌケな事を言い出した。
仲良くしろだって?ふざけるな。なんで私がそんなのと…
「よろしくね!髪の毛サラッサラ〜!」
「!?」
私がそう思っているといつの間にか研究員はいなくなり”ペア”が目の隣にいて髪を触りだした
「は、離せッ」
「あ、ごめんごめん、」
悪びれない表情でケラケラと笑っている。バカだなこいつ
「ねぇ、貴方名前は?」
「…『AMANE』。さっき研究員が言っていたでしょう?聞いてなかったの?」
「あ、確かに言ってたね!うっかりうっかり〜!」
「…アンタは?名前、何?」
「私はハル!よろしくね!あまね!」
「…貴方人間?」
「?うん!当たり前じゃん!」
これの当たり前は私には適用されないのね。
「なら私は異常なのね。」
「……????」
「何も聞いていないのね。私は高性能AIヒューマノイド。『AMANE』雨を降らすことが仕事。」
「…人間じゃないってこと?」
「…そうよ」
あぁ見下したりでもするのかしら、こいつも所詮周りと同じ…
「かっこいい〜!!!!」
「…へ?」
「人間じゃないロボットって事!?それってちょ〜かっこいいじゃん!」
「…何言ってんのよ」
私が冷ややかな目線を送ってもお構い無しなようだ。
「いーじゃん!あと、貴方って言わないで、私はハルだから!ね!あまね!」
「…わかったわ、…ハル」
満足そうに笑うハルは私の目の前に立ち上がった。
「私はハル!あまねのペアとして太陽の役割をする為に配属する事になった人間!」
改めてよろしく、と言った後ハルはまた笑顔を見せた。
なんとなく左胸に暖かいものが流れこんでくる気がした。
「…変な人」
そう呟いた後私はハルの手を引いた
「おいで、仕事教えてあげる」
「わーい!」
これは雨が嫌いな雨を降らせる仕事をするヒューマノイドの私『AMANE』と
太陽の様な性格で空を晴れさせる人間の女の子『ハル』の一年間の記録を綴った物語
この物語、いや、思い出の最後
きっと、きっと少しは雨が好きになれますように______。
コメント
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うわお、なんだこれは綺麗すぎて最高すぎるぞ
続き全裸待機してますね