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「はーい、皆んな席に着く。チャイム聞こえなかった?もうHRの時間だよ」
教室前方の扉が開き、出席簿を持った若い女性教師が教室に入ってきた。皆、一斉に席に着く。
「あれっ、何で副担の人見ちゃんがHRを仕切んの?寺澤ティーチャーは休み?」
「ウェーイ、寺澤ティーチャー2階級特進〜」
クラスのお調子者数人が囃し立てる。
「コラー、担任の先生を勝手に殺さない。あと、私はアンタたちの友達じゃないぞ、ちゃん付けで呼ばない」
教壇に立った副担が場を仕切る。
「あれっ。増田君は4組だよね。どうしたの、こんな所で。具合でも悪いの?」
床から必死になって立ち上がろうとする増田に、人見が呼びかける。
「い、いえ。何でもないです」
「4組もHR始まってるから、早くしないと遅刻扱いになっちゃうよ」
「は、はい」
傷んだ右足を引きずりながら立ち上がった増田は、根岸の横を通る時、小さな声で
「覚えとけよ」
と小さく毒付いた。
「悪いな、増田っち。ストレス世界で生きてる俺はさぁ、オメーみたいなゴミのことを一々覚えてる余裕がないのよ」
昨晩、増田が根岸に言ったセリフを、36号は少し改造して発言者の増田にぶつけた。
「〜〜〜ッ!」
増田の顔が怒りで強張る。
「俺は構わんぜ。センコの見てる前で派手にやり合おうや。なぁ、増田っち」
「増田君、早く自分の教室に戻りなさい」
先程までより、大分厳しめの口調で副担が増田に言う。増田は大人しくその言葉に従った。
「これで昼休み迄は大丈夫でしょう。私は一度離れます」36号が根岸の耳元で囁く。
「あ、有難うございました」
「では、フリーダと仲良くしてやって下さい。あの子は、私よりずっと信用出来る子ですから……」
「……寺澤先生は家庭の事情で暫くは家庭学校に来れません。何か用がある場合は、私の所へ来るように。それと、白井君が昨晩、他校の生徒とケンカをして入院する程の怪我をしました。何か詳しいことを知っている人は、私か生活指導の山下先生の……」