「すみません、ごめんなさい。僕はあなたが大好きです。どうにもならなくても好きなんです。今日、もう一度彩葉先生に告白したら、もう言わないようにしようって決めてます。彩葉先生のこと、大切に胸にしまって、密かに想い続けたいって……そう思ってます。だから、こんな僕を許して下さい」
その時、ドアが開いて弥生先生が入ってきた。
「うわっ」
「ごめん、びっくりさせて。忘れ物して取りに戻ったら、2人が話してて……全部、聞いちゃった……」
「聞かれたんですね、何か恥ずかしいな。でも……いいですよ、弥生先生になら」
「理久先生は一途だね。でもさ……ちょっと真っ直ぐ過ぎ! 彩葉のこと、ずっと好きでいるつもり?」
その言葉の意味がよくわからない。
「も、もちろんです。彩葉先生のこと嫌いになんてなれないから」
「理久先生。私のこと、幸せになってほしいって言ってくれたよね。私はね、理久先生にも幸せになってもらいたいんだよ。彩葉のことを嫌いになる必要はないけど、だけど、新しい1歩を踏み出してほしいんだ。理久先生の夢のためにも」
僕の夢?
「ねえ聞いて。まずは彩葉と理久先生に報告! 私、和田 弥生は、最低最悪なあの男とキッパリ別れて、無事に新しい1歩を踏み出しました~! パチパチパチ」
弥生先生は、自分で拍手をしながら笑った。
「弥生、本当に?」
「うん! 2人のおかげだよ。本当にありがとう、感謝してる」
「そうなんだ……弥生、良かった……」
彩葉先生は、心からホッとしたようだった。
もちろん、僕も。
「私の場合はさ、相手がクズだったからスパッと嫌いになれて良かったけど。でも、理久先生の場合はそうじゃない。だけどさ、理久先生はまだ若いんだから、ずっと彩葉を引きづってたらもったいないよ。新しい1歩、踏み出してみなよ」
「新しい1歩……」
「うん。他の誰かを好きになるのも良いってこと。いつまでもさ、未練がましいのは嫌われるよ」
「わ、わかってます。未練がましいのは気持ち悪いって。僕だって嫌われたくないです。でも、他の誰かなんて……」
彩葉先生以外の誰かを好きになるなんて、今の僕には考えられない。
「そうだよね、わかるよ、すごくわかる。でもさ『好きだけど、いつかきっと新しい恋ができるから大丈夫』って、そう言って彩葉を安心させてあげなよ。それがカッコ良い男ってもんでしょ?」
何だかよくわからないけど……
その言葉に心の奥をギュッと掴まれた気がした
「もちろん、すぐに忘れられるわけないよね、こんな良い女。だからね、たまには言ってもいいんだよ。彩葉を好きだって気持ち。口に出さないと苦しいでしょ?」
「でも、言ったら彩葉先生を困らせてしまうから」
「彩葉には言わない! その代わり私に吐き出せばいいよ、『僕は、彩葉先生が大好きだー!』って。私が全部聞いてあげるから。それからさ、私も完全なるフリーだし、一緒に恋人見つけようよ! 見つかるまでは私が相手して遊んであげるから。だから、我慢するのやめな。内に閉じこもらなくてもいいんだよ」
コメント
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弥生ちゃん、吹っ切れた女は強し✊だね~! 理久先生・弥生ちゃん素敵な出会いがあると良いね(≧∇≦)b