X星人の襲来から1日が経ったが、それによって眠っていた怪獣たちが次々と目覚めていた。
「それは、こっちだっ!!!急げ!!」
作業員たちが走り、メカゴジラの修復を急ぐ。紫音がメカゴジラの前へ立ち、波瑠に問う。
「ルナ、大丈夫?」
「多分、間に合うよ?」
波瑠はパソコンでメカゴジラの状態を見つつ、紫音の問いに答えた。
「皆ーっ!!見て見てぇっ!!!!」
すると、早歩きで美優姫がやって来て、
「今ね、昨日戦ったモンスターXについて調べたの。」
「何?胸の大きさについて?」
紫音は笑いながら美優姫を揶揄う。
「違うわよっ!!」
ヘラヘラと笑う紫音を置いて、美優姫は資料を机に広げる。
「これを見て。こっちはモンスターXが吐血した際の血液、こっちはゴジラが攻撃した際の血液よ。それで、ここ。」
美優姫はある場所を指差す。
「このDNAの流れが2匹共、同じなの。」
全員が?を浮かべる。
「え?と言う事はゴジラとモンスターXは血縁関係なのか?」
顔を顰めて光和が問う。すると、美優姫は頷いた。
「はい。そうなります。」
「でもさぁ、ゴジラにはゴジラの親が居るんでしょ?なんで、遺骨と血繋がってんの?」
?を沢山、浮かばせた紫音は資料を見ながら問う。
「データでも、ギャラクシアを造る際にゴジラの血液が組み込まされているんだよな?」
「でも、ギャラクシアを造ったのはあのクソジジイでしょ?遺骨の時も、『私の最高傑作だぁ!』とかって、ほざいてたし。」
光和と紫音が議論し合い、紫音が何か良からぬ事を考える。
「もしかして、今のゴジラは前のゴジラと遺骨の間の子供って事?!!」
「それは無い。」
「それはヤバい。」
「それに賭けたい。」
「黙れ。」
美優姫が波瑠を睨み、波瑠が「はい、、。」と答えた。すると、メカゴジラの作業をしていた作業員が走って来る。
「龍志さんっ!!!ルナの修理が終わりましたっ!!!いつでも、出動出来ますっ!!!!」
「何?!よし、分かった!紫音!!お前の出番だ!!ルナに乗れっ!!!」
「へいへい。ルナ!今日も頑張るぞぉっ!!!」
紫音はスーツに着替え、メカゴジラへ向かう。その時、メカゴジラが突然、動き出した。紫音へ歩みを進めるメカゴジラの足下で避け惑う、作業員。
「うわぁっ?!!」
「はぁっ?!ルナァっ!!!」
メカゴジラは紫音らの前へ立ち、見詰める。そして、手を差し伸べた。同時に内部に繋がるハッチも開く。
「…………分かってんじゃん、ルナ。」
紫音はメカゴジラの手に乗り、操縦席へ入った。メカゴジラは美優姫に向かってグッドサインを送った。
「凄っ。うち、今動かしてないに!」
「これは、、。」
光和は顎に手を当て、メカゴジラを見る。
「まさか、スペースゴジラ、、?」
「スペースゴジラの意思が戻ったって事か?!」
「スペゴジと私のコンビかっ!!最高だなっ!!!」
紫音は、勝った!!と叫び、拳と拳をぶつけた。
「ルナ!行くぞっ!!!!」
メカゴジラは基地の外に出て、空へ飛んだ。
京都に怪獣が出現した。コードネーム『ビオランテ』、『イカロス』
「クソっ!!また、見た事ない奴が来たぞっ?!!」
「京都市内でまたしても、怪獣の出現を確認!!カマキラスとクモンガですっ!!!」
「不味い!ゴジラは、ゴジラはまだ来ないのかっ?!!」
司令塔は得体の知れない怪獣の出現に動揺が隠せない。
「ゴジラはまだ、来ていませんっ!!もう直ぐで上陸しますっ!!!」
司令塔のモニターには、銃撃をするも怪獣たちに弾き飛ばされる軍の姿が映っていた。
孤島 洞窟の中 ━━━ モスラの幼虫は蛹になる準備をしていた。空へ向かって糸を吐き、自身へ糸を付けて行く。
「モスラ、、。」
手を合わせ、過去は祈った。
「姉様、間に合うでしょうか、。先代のモスラたちの力は、もう残っていません、、。孵化に時間がかかります、、。」
未来は不安な顔で過去を見た。
「きっと大丈夫よ、未来。」
過去は優しく微笑み、未来そして自分に言い聞かせた。
ゴジラ、ラドン 京都府 舞鶴市へ上陸。
「ゴジラとラドンっ!! 京都府へ上陸しましたっ!!メカゴジラも間もなく京都へ辿り着きますっ!!」
ゴジラは上陸して直ぐにビオランテへ熱線を撃った。熱線は見事、ビオランテに直撃し爆発する。ラドンもビオランテへ飛び掛かろうとした時、横から白に青いラインが入った翼竜、『イカロス』が襲い掛かる。
「イカロスだっ!!気を付けろっ!!!」
ラドンはイカロスと絡まり合いになり、建物に激突して行く。軍の戦車が助太刀しようとするも、ビオランテから放たれる植物のつるが絡み、上手く動けない。しなやかな動きでゴジラに絡まってくる植物の先には、食虫植物のような鋭い牙が付いた口がある。ゴジラは噛み付こうとして来る植物を手で抑え、ちぎり取る。しかし、次から次へとビオランテのつるが伸びて来てゴジラに巻き付く。ゴジラは1度身体を反らせ、火炎放射を吹いた。ビオランテや周りの木々も燃え、ビオランテは悲鳴じみた奇声を上げる。
きい”ぃ”いぃぃ”ぃぃいぃ”ぃぃん”っ?!!!!!!!
ビオランテは自身のツタで何とか、炎を消そうとした。その時、いつの間にか近付いていたゴジラがビオランテの顔面へ強烈はパンチを入れる。
「クソっ!!ゴジラを助太刀するんだっ!!!急げぇっ!!!」
司令塔が指示を出し、軍のヘリからミサイルが放たれる。
「司令塔っ!!愛知にカマキラス4体出現っ!!」
「司令塔っ!!宮崎にてクモンガ2体、メガギラスが1体、出現しましたっ!!!」
「こちら、奈良にコードネーム『バラゴン』、『アンギラス』出現を確認っ!!!」
「何だとっ?!!1度にそんな数がっ?!」
「『皆さんっ!!』」
その時、司令塔に過去と未来が現れた。驚いた司令塔がビクリと肩を震わせた。
「うおっ?!!何だ!君たちかっ!!」
「はい。皆さん、バラゴンはモスラと同じ守神です。アンギラスも我々の味方、安心して下さい。」
「それは、本当かっ?!」
「『えぇ。皆さんどうか、出来るだけ時間を稼いで下さいっ!!』」
双子は手を合わせ、
「今とても、不味い状況です!」
「怪獣たちが封印から解け、次々と覚醒していますっ!!!」
その言葉に司令塔がハッとなり、
「そうだった!!アンギラスとバラゴンは、ゴジラの元へ向かっているんだなっ?!」
「双子さん!!後どれだけ稼げばいいですかっ?!!」
「『モスラの孵化には時間がかかります、、。約3時間程ですっ!!こちらも、出来るだけ早く孵化出来るように配慮しますっ!!』」
「了解したっ!!頼むぞっ!!!!」
司令塔はそう言うと双子に背を向け、指示に専念する。双子は一礼すると、その場から消えて行った。
空で空中戦を繰り広げているラドンとイカロス。ラドンは何度もイカロスに飛び掛かり、絡み合いになっている。すると、イカロスは奇形な平べったい顔頭部をラドンへ向け、口を開ける。その時、イカロスはとてつもない爆音波を放ち、ラドンを吹き飛ばした。衝撃波は辺りにも飛び散り、軍の戦車が吹き飛ぶ。
「うわぁっ?!何だ、あの威力はっ?!!」
「くそっ!!皆、飛ばされるなっ!!!!」
イカロスは口を閉じ、空を仰ぐ。ゴジラはイカロスを睨み付けた。瞬間、イカロスへ何かが回転しながら飛んで来る。イカロスは反射的に避け、地面に堕ちるのを見詰めた。
「あぁっ?!!当たんなかったぁっ!!!」
投げたのは、紫音だった。そして、メカゴジラは地面に着地しゴジラを見る。ゴジラも同様、メカゴジラ、いやナイトメアを見詰めた。その時、京都 五重塔の真下がボコリと持ち上がり、巨大な腕が伸びる。
「この気配、、まさかっ、、?!!」
「姉様、、。」
モスラが眠る繭を見ていた双子は、悍ましい気配に体を震わせた。
「未来!行って!!ゴジラに一刻も早く、伝えるのっ!!」
「はいっ!!!!」
未来は消え、過去は繭へ向かい、手を合わせ願った。
五重塔を破壊し地面から出て来た怪獣。様々な紫色に包まれた美しい鱗だった。そして、巨大な翼をばたつかせ強く咆哮した。
ごあ”あ”ぁぁあぁあ”ぁ”ぁぁあぁぁっ!!!!!!!!!!!!
その咆哮だけで、周りの建物が凪払われて行く。
「マジかよ、、。」
流石の紫音でも、少し怖気付いていた。
分かったのだ、この怪獣が他とは全く『異なる者』なのだと。
怪獣の容姿は、額と両頬に鋭い刃、頭部から翼の付け根に向かって生えたヒレ。怪獣は所々に走る今紫色のラインを発光させ、ゴジラやメカゴジラを睨む。紫音は怪獣の放つオーラでさえ、手足が出ないと言うのに、睨まれもしたら、
「やば、、初めてやわ。……マジで、『恐い』って思ったの、。」
それは司令塔にまで届いていた。
「…っ、今度は、何だっ、、!」
やっとの思いで声を出す司令塔。そして、怪獣のエネルギー反応を見ていた隊員が絶句する。
「……えっ、なっ、?!」
「どうしたっ?!あの怪獣の事が分かったのかっ?!」
焦る司令塔に隊員は真っ青な顔を向ける。
「……出来ません、。」
「…何だっ?!聞こえんっ!!!」
「計測が、出来ませんっ?!!あの怪獣のっ、エネルギー反応が強過ぎる故、機械がオーバーヒートし、観測不可っ!!!」
「…なん、だとっ、、?!!」
本部全体が静まり返った。その時、またしても司令塔へ未来がやって来た。
「皆さんっ!!あっ、、そんなっ、、!」
モニターに映った紫色の怪獣に絶句する未来。何とか気を確かにする為、頭を振るう。そして司令塔へこう告げた。
「……皆さん、聞いて下さい。あの怪獣の名は『アイオン・オヴサーヴァ』、別名『支配者』そして、、『神』と言う名を持つ怪獣なのです。」
「……神、、。」
「はい。今から何十億も前に、ここ地球へやって来ました。」
苦しそうに言っている未来の顔はいつもの穏やかな感じは無かった。
「アイオンは戦いを好み、飽きれば眠りに着きます。出来るだけ、時間を稼ぎ彼の意識を阻害するか、モスラの孵化まで耐えるかしか、手段がありません、、。」
「……倒す、と言う事は出来ないのか、?」
すると、未来は全力で首を横に振った。
「…出来ません、、。彼にそこら辺の攻撃は効きません。もしかしたらゴジラやメカゴジラでも、。」
「……マジかよ、、。」
ゴジラが背びれに力を溜め、アイオンへ熱線を放った。しかし熱線はアイオンに当たる直前で真横に逸れ、そのまま山に直撃した。
「えぇっ?!なぁに、あれぇ〜!!」
アイオンが首を鳴らし、ラインを発光させたその時、アイオンの後頭部にトゲトゲした球体が直撃する。アイオンは忌々しげに顔を顰め、球体はゴジラらの近くへ転がって来た。
「おぉ!ナイスだ、アンさんっ!!」
メカゴジラがグッドサイン。球体から顔を出したアンさん事アンギラスはニカッと笑った。アンギラスは四足歩行に戻り、アイオンを睨む。先程、紫音がイカロスに投げたものもアンギラスなのだ。すると、アイオンは後ろに忍び寄っていたカマキラスを自身の尻尾で貫いた。ブクブクと紫色の液体が流れ、カマキラスが溶けていく。
「うぇっ?!毒かよっ?!!」
『”毒だけじゃないぞっ!秋本っ!!“』
「うぉっ!ビビったぁ。」
『”双子から聞いた事だ、よく聞け。奴は、想像した事を実現出来る!気を付けろっ!!!“』
「はっ?!そんなん、ありかよっ?!!!」
『”お前たちは、ただ耐え凌げ!そうすれば必ず、モスラがやって来る!!“』
「…りょ。耐久戦って事ね?」
メカゴジラは結晶部分を叩く。
「聞こえたかー、スペゴジ!こっからは、頭脳戦になるぞ!」
メカゴジラがスペースゴジラの意思で頷いた。
「ルナはあんたの意思で動くし、私の意思で動く。……好きなように、暴れろっ!!!!」
ごぉおぉおぉぉおおぉぉおぉぉんっ!!!!!!!!!!
紫音が叫んだと同時にゴジラが叫び、メカゴジラを見た。そのゴジラの瞳には前には無かった光がさしている。
「ゴジラ。怪獣は、怪獣らしくやるのが1番だ。共闘で行くぞ。」
メカゴジラはゴジラに背を向け、ゴジラもメカゴジラと背を合わせる。そして、ナイトメアの意思でゴジラの背中を叩き、前へ進む。ゴジラも応えるようにメカゴジラを背を向けたまま叩いた。
その時、ゴジラは辺りに居たビオランテ、クモンガへ火炎放射を吹いて行く。ナイトメアも口を開け、赤白い熱線を吐いた。
アイオンがゴジラとメカゴジラを睨み、地面に拳を叩き付ける。その途端、地面が割れ中から毒の液体が勢い良く噴き出した。
「WOW、やっば!何でもありかよ。」
紫音がメカゴジラの腕から剣を出し、アイオンへ投げ付けた。投げ付けられた剣はアイオンの肩に刺さり、アイオンは顔を歪ませる。そこへゴジラの熱線が直撃していき、爆発した。
「うわぉっ?!!こんだけ、爆発するかぁっ!普通っ!!!!!」
その時、煙を上げるアイオンの後ろから転がって来た赤い怪獣。
「あっ、バラゴンっ!!」
未来が笑顔でバラゴンを見る。バラゴンはアンギラスに鳴いて、イカロスを睨んだ。
「”きゅうぃぃいぃ!!!“」
空を飛んでいたラドンはバラゴンの鳴き声を聞き、地面へ降り立った。そして、バラゴンを背中に乗せ、空へ飛ぶ。アンギラスも身体を丸め、ゴジラとメカゴジラの邪魔をさせないようにビオランテの前へ立ちはだかった。
イカロスVSラドン&バラゴン
ビオランテVSアンギラス
アイオンVSゴジラ&メカゴジラ
ラドンはバラゴンを乗せたままイカロスに飛び掛った。2匹が絡み合いになった瞬間、バラゴンがイカロスに飛び付き翼の付け根に噛み付く。瞬間、イカロスが奇声を上げた。バラゴンは振り落とされ、ラドンがキャッチする。
イカロスは身体を仰け反らせ、爆音波を放った。
「ぐぅっ?!!あれは、厄介だぞっ?!!!」
軍のミサイルがイカロスを狙う。ラドンもバラゴンを持ち直し、イカロスへ立ち向かった。
アイオンは辺りに毒を撒き散らし、自身に纏わさせる。ヒラヒラとした巨大な翼を広げ、ゴジラへ、突っ込んだ。ゴジラは背びれを赤くさせ、火炎放射を放ち、出来るだけアイオンから離れる。
「スペゴジ。」
紫音がそう言った瞬間、メカゴジラは持っていた剣をアイオンへ思い切り投げ付けた。
それはアイオンの顔面に勢い良く突き刺さる。
「うわっ?!!刺さった?!死んだやんっ!!!!!!」
紫音が叫んだ。ゴジラとナイトメアはフラフラするアイオンへ容赦なく熱線を浴びせた。しかし、アイオンの腕が上がる。その瞬間、ゴジラとナイトメアの熱線は在らぬ方向へ逸れた。
があ”ぁ”ぁあぁ”あ”ぁぁあぁぁ”ぁっ!!!!!!!!!!!!
剣が顔面に刺さったまま、咆哮を上げるアイオンにゴジラとナイトメアは後ずさる。アイオンは突き刺さった剣を引き抜き、ドロドロに溶かした。
「マジかよっ?!!ガチのバケモンじゃんっ?!!」
なんと、アイオンの潰れた目が再生して行く。あっという間にアイオンの傷は治ってしまった。ゴジラとナイトメアは臨戦態勢を取り、アイオンを睨んだ。
「スペゴジ!!避けは任せろっ!!お前とゴジラは攻撃に専念しろっ!!!!」
紫音はパネルをつつき、背中からミサイルを放った。そのミサイルは傍に居たアイオンとビオランテに直撃する。
ビオランテは咆哮を上げ、駆け回るアンギラスにツタで襲い掛かる。何とか避けつつアンギラスはトゲトゲの背中をビオランテにぶつけた。
ビオランテから黄色い汁が飛び出て辺りに飛び散る。すると、地面に張り巡らされたビオランテのツタと薔薇の花が光輝く。その時、ビオランテの口からビームが放たれた。アンギラスがそのビームに巻き込まれ、爆発する。
「何、あのソーラービームっ?!!アンさん、大丈夫かぁっ?!!!」
その瞬間でもアイオンの鋭い攻撃を何とか躱す。しかし、突然の浮遊感を感じた紫音。
「はっ、?!」
メカゴジラの身体は一瞬で空中に浮き、アイオンが胸ぐらを掴む。そして、地面へ叩き付けた。
「それは、ちょっと、無理かなぁっ!!!!!!」
紫音が片方の手からミサイルを放つ。やはり、アイオンはビクともしない。その時、ゴジラがアイオンの尻尾を掴み、勢い良く引っ張った。ナイトメアも体勢を崩したアイオンを思い切り頭突く。
アイオンはゴジラへ振り向き、ゴジラの頬を殴り付けた。鈍い音が響き渡り、ゴジラはアイオンから後ずさった。殴られた頬を摩り、口元を手の平で拭う。拭った手の平にはゴジラの血が付いていた。アイオンがゴジラへ突っ込んで来る。ゴジラはすかさず、血の付いた手をアイオンから後ろへ遠ざける。
「ゴジラ、殺れ。」
ゴジラの血がバキバキと音を立て巨大なオノへと形を変形して行く。ゴジラはオノを握り締め、アイオンへ横から振りかぶった。またしても、鈍い音が鳴る。アイオンは空へ飛び、それをナイトメアが追う。
空中戦はイカロスとラドンがヒートアップしていた。2匹が絡み合いになるも、ラドンはバラゴンの合図を見て、地面ギリギリを低空飛行、バラゴンがラドンに捕まり、また空へ羽ばたいた。それをイカロスがジェット機のような速さで追い掛ける。空高くへ行くとバラゴンがラドンから飛び降りる。
「なっ?!!あいつ、何やってんだ?!!!」
バラゴンは、直ぐそこに来ていたイカロスにしがみつく。イカロスが口を大きく開け、バラゴンへ爆音波を放とうとした時、バラゴンがすかさず、イカロスの開いた口へ火の粉塵を吹き込んだ。途端にイカロスの口が爆発し、煙を上げる。バラゴンを地面へ叩き付け、ゲホゲホと咳き込んだ。
「今だっ!!!!撃て撃てぇーっ!!!!!!」
軍のミサイルがイカロスへ飛び交う。
『”隊長っ!!!アンさん、助けてっ!!!!!!“』
「むっ!了解したっ!!!!!」
アンギラスはビオランテのツタに捕まり、今にも食われそうな状態だった。軍は離れた場所から弾道ミサイルを放つ。それに気付いたビオランテはアンギラスを離し、自身を大量のツタで囲んだ。弾道ミサイルはビオランテに直撃したものの、本体には当たらなかった。
「ちっ!!ダメかぁっ!!次だっ!!もっと、撃ち込めぇーっ!!!!」
戦車がビオランテへ砲弾の雨を注がせる。そこへアンギラスが勢い良く自身の身体をぶつけた。ビオランテが衝撃で後ずさる。
「行くぞぉっ!スペゴジィっ!!!!!!」
ナイトメアと紫音はアイオンを勢い良く殴り付けた。辺りに真空波が伝わり手応えがあったが、アイオンはメカゴジラを睨む。
「スペゴジっ!防御態勢っ!!!!!!」
紫音がそう叫んだ瞬間、アイオンが空中で一回転し、メカゴジラを自身の尻尾で叩き付けた。バチバチとメカゴジラの身体にヒビが入っていく。
メカゴジラは地面に叩き付けられ、所々から火花を散らした。メカゴジラの片手がボトリと落ちる。モニターから見ていた美優姫がマイクに向かって紫音の名を呼んだ。
『”紫音ちゃんっ?!紫音ちゃん、大丈夫っ?!!!!“』
「………っぅ、、!…いったぁ!!!!」
メカゴジラが起き上がる。アイオンは地面に脚を付け、ゴジラとメカゴジラを睨み付けた。ゴジラが背びれを青白く、ナイトメアが赤白く染めた。
辺りでも軍のミサイルが飛び交い、イカロスがラドンと空中戦を繰り広げている。
アンギラスは首から血を滴らせ、ビオランテに苦戦していた。
司令塔でそれらを見ていた未来は手を合わせ、モスラに祈った。
「(モスラ、、、お願い、目覚めて、、。)」
過去は閉じていた瞼を上げる。蛹が光ったのだ。
「っ!……モスラ!良かった、、!」
周りに無数の蛾が止まり、光った。蛹の光が増し、モスラが這い出ようとする。蛹に亀裂が入る、モスラの釜が姿を現した。
「モスラ、、。」
過去はゆっくり、祭壇へ上がった。自身にまとわりつく糸を取り払い、モスラは過去に近付く。過去はモスラの額を優しく撫でた。
「………モスラ、行って。ゴジラの元へ行ってあげて、。貴方がこの戦いを止めるのよ。」
「”きゅうぅぅうぅ”」
モスラは光り輝き空へ羽ばたいた。
「っ?!!モスラが!!」
「どうしたっ?!」
急に声を出した未来に司令塔が驚く。
「モスラが繭から出てきたのです!今、此方に向かっていますっ!!!後少しですっ!!後もう少しだけ、持ち堪えて下さいっ!!!!」
「なんだとっ?!!…秋本っ!聞こえたかっ?!!」
「聞こえたよっ!!!!さあ、後ちょっと踏ん張ったら私らの勝ちだぞっ!!スペゴジ、ゴジラァっ!!!!!」
ゼェゼェと息を荒らし、ゴジラがナイトメアと目を合わす。メカゴジラも片目が潰れ、片手が無くなっていた。バチバチと火花を散らして、2匹は今もピンピンしているアイオンを睨んだ。
ごおぉぉおぉおぉぉおぉぉんっ!!!!!!!!!!!!
ゴジラは咆哮し、アイオンへ突っ込んだ。2匹がぶつかり合い、ナイトメアもすかさず、アイオンへ飛び付く。
「アンギラスっ!!!あと少しだっ!持ち堪えろっ!!!!」
アンギラスは、軍の攻撃に加わりビオランテの首根っこへ噛み付いた。ゴジラらの邪魔はさせない一心にビオランテへしがみついた。戦闘機は、アンギラスに噛み付こうとするビオランテのツタにミサイルを明確に当てて行く。
「耐えろぉっ!!!!!」
イカロスが軍の戦車を自身の爪で潰し、超音波を放って行く。次々と軍が薙ぎ払われるも、何とか食い止める。
すると、軍の戦車目掛け、ゴジラが飛ばされて来た。ゴジラは地面に投げ出され、地面に突っ伏する。口から血を吐き、立ち上がる。ゴジラは何度倒れようと、何度でも立ち上がった。隣にメカゴジラが飛ばされて来るも何とか地面に脚を食い込ませ、倒れそうな身体を支える。
「ゴジラっ、、!あとっ、少し、だっ!!!!」
紫音が居る操縦席も火花が散り、エラーが響き渡った。
ゼェゼェと荒い息をするゴジラの肩をナイトメアは掴み、無理矢理立たせた。ゴジラは小さく頷き、2匹は咆哮する。アイオンは瓦礫と化した京都市内を見渡し、最後だと言わんばかりの雄叫びを上げた。
アイオンがゴジラらへ飛び掛かろうとした、その時だった。
空が二つに割れる。ゴジラとナイトメアに光が差し込め、瞳を細めた。戦っていた筈の他の怪獣たちも戦いをやめ、光る方向に見入っている。
きゅあぁあぁぁぁあぁぁああぁぁっ!!!!!!!!!!!!
それはモスラだった。光り輝くモスラがゆっくりと降下してくる。そして空中で一回転し、アイオンの近くにある、今や瓦礫となった五重塔の上へ止まった。モスラの後ろに日が昇る。それと同時にモスラは自身の羽根を怪獣たちに広げて見せた。
それは、薄いクリーム色に白色の模様が入ったとても神秘的な羽根だった。
きゅあぁあぁぁぁあぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!
モスラは強くもう一度叫び、羽根を発光させた。すると、モスラを囲むように白い輪っかが現れ、辺りに浸透していった。その瞬間、ビオランテ、イカロス、全国に居た怪獣たちが青白い柱に囲まれ地面に潜って行く。バラゴンは戦いが終わったのだと分かり、深く息を吐いた。アイオンは次第に瞼が重くなり、あくびをすると身体が透け始め地面へ消えてった。
しかし、そこでメカゴジラも地面へ倒れる。プスプスと煙を上げ、琥珀色の目に光が消えた。ゴジラはナイトメアの顔へ自身の顔を近付け、向かい合うようにゆっくり倒れる。そして、静かに瞳を閉じた。
終わったのだ
「………………。」
「…………ゴジラ、、。」
司令塔は長年、ゴジラと共に戦い続けて来た。それも今日で終わりになる。
「…………ありがとお、ゴジラ。」
司令塔だけでなく、外に居た軍もこの戦いを見ていた世界の人がゴジラへ敬礼した。
2匹が眠る場所へラドンやバラゴン、アンギラスが近寄る。モスラもゴジラの元へ降り立った。自身の釜でゴジラの鼻先を突く。
「”きゅうぅぅ、?”」
モスラはゴジラを呼ぶ。しかし、ゴジラがそれに答える事は無かった。
「ゴジラっ、、、モスラはね、きっとっ、、大人になった自分を、貴方にっ、見て欲しかったんだと思うよっ、、。」
モスラはもう一度、今度は小さく鳴き、ゴジラの頬へ自分の頬を擦り付けた。
「ゴジラ、、ゆっくり休めよ、、。」
メカゴジラから降りた紫音はヘルメットを取り、ゴジラを見詰める。そして、モスラは空へ飛び自身の住処である孤島へ飛び去って行った。
永きに渡る怪獣たちの戦いに幕を閉じる
2222年 猫の日 ━━━━ 京都の街中を歩く、親子。その手には二つの花束が大事に抱えられていた。向かう場所は大きな二つの石碑だった。女性が花束を添え、女の子が手を合わせる。
「怪獣さんっ!ありがとおっ!!!!」
「怪獣さん、パパに会えてるかなぁ。」
「きっと、会えてるよ。」
「さあ、私たちも帰りましょ。」
3人は、手を繋いで帰って行く。
此処にはゴジラとメカゴジラの為の石碑が建てられている。この2匹だけでは無いく、モスラ、ギドラ、ガイガンやアグマドル、これまでに死んで行った怪獣たちと共に戦った人間たちの石碑が彼らの眠る場所に遺されていた。
そして、最後まで人類の為に戦い、守り抜いたゴジラの石碑にはこう記されている
怪獣の王 此処に眠る
ゴジラStage Series 〜終〜
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3件
最後少し泣ける🥲