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というのもこのエマ、ある程度の知識や狙撃の腕などは持っているが、料理折り紙編み物なんかはからっきし。
正直、麦わら帽子を編めたのは隣でずっと一から教えてくれた友達がいても完成できたのは奇跡に等しいぐらいである。
「あ…!!ちょっときみ危ないよ!!」
『あれ、女の子?』
「?オイなんだてめェ」
「ルフィさん止めてくださいよっ!!あの子殺されちゃいますよ!!」
「自分でやれよそうしたいなら」
入ってきたのは髪をふたつに結んだ可愛らしい女の子で、ボーダー柄のワンピースに赤い靴を履いている。
「殺されてェのか…消えなチビ!!」
「あのね、私おにぎり作ってきたの!お兄ちゃんずっとこのままでおなか空いてるでしょ?
私、はじめてだけど一生懸命作ったから…」
『料理できるんだ…すご』
「ハラなんかへっちゃいねェ!!そいつ持ってとっとと消えろ!!」
「だけど…」
「いらねェっつったろ!!帰れ!!踏み殺すぞガキ!!」
ゾロは女の子が海兵に見つかってしまうのを恐れているのか、威嚇する。いや本当かどうかは分からないが少なくともエマの目にはゾロは優しそうに見えた。
外から見てるコビーもひやひやする中、高らかないかにもウザそうな声がこの海軍基地に響いた。
「ロロノア・ゾロォ!!!いじめはいかんねェ、親父にゆうぞ」
「「!」」
「また変なのが出たな」
『むむ、嫌な予感』
「あれはきっと海軍のえらい人ですよ…よかったあの子殺されなくて…」
「チッ七光りのバカ息子が」
海軍大佐の息子、ヘルメッポ
見たまま、ゾロの言うまま、ただの七光りのバカやろうである。
「バカ?こら調子にのるなよ。おれの親父はかのモーガン大佐だぞ!!
おやおやお嬢ちゃん、おいしそうなおにぎり持って差し入れかい?」
「あ!だめっ!!」
『ほんとだ、ちゃんと七光りだ…』
「ぷへェっまずう!!く、くそ甘ェ!!砂糖が入ってんぞこりゃ。塩だろうが、ふつうおにぎりには塩っ!!」
「だ…だって甘い方がおいしいと思って…!!」
「こんなもん食えるかボケッ!!」
『じゃあ食べなきゃいいのにね』
「ああ、その通りだな。だが手を出すのはやめとけ」
『?』
おにぎりを吐き出して地面に踏みつけるヘルメッポに対してゾロと愚痴り合いをするエマ。
ヘルメッポに戦闘態勢を組んだが、くしくもゾロにそれを止められたのだった。
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