テラーノベル
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カイリの世界は、妹のハルカのために存在していた。生まれつき心臓が弱かったハルカは、外で元気に遊ぶことができず、ほとんどの時間を家の中で過ごしていた。カイリは、そんな妹の退屈な毎日を彩るために、たくさんの物語を語って聞かせた。空を飛ぶ鳥の話、遠い海の底に眠る宝物の話、彼が語る物語の中で、ハルカはどこへでも自由に行くことができた。ハルカが嬉しそうに目を輝かせるたびに、カイリは自分の人生に意味を見出していた。
しかし、その光は、ある雨の日の夕方に消え失せた。容態が急変したハルカは、突然この世を去った。ハルカが病院のベッドで静かに眠るように息を引き取ったとき、カイリの心は空っぽになり、世界は音も色も失った。
葬儀を終えても、カイリの喪失感は癒えることはなかった。ハルカの部屋は、彼女の好きだった絵本やぬいぐるみが置かれたままになっていたが、そこにはもう彼女の温かさはない。カイリはハルカの部屋に閉じこもり、彼女の遺品を抱きしめては、止まらない涙を流した。やがて、彼は食事をほとんど摂らなくなり、眠ることもできなくなった。
外界との接触を絶ち、家族の呼びかけにも応じない日々が続く。時折、ハルカの幻覚が見えるようになった。雨の音に混じって、ハルカの楽しそうな声が聞こえる。カイリが振り返ると、そこにいるのは彼女が着ていた服の残骸と、虚ろな自分の姿だけだ。幻覚は次第に鮮明になり、カイリは現実と幻覚の区別がつかなくなっていった。
彼は、自分がハルカを守れなかったという自責の念に苛まれるようになる。もし、もっと早く異変に気づいていれば、もし、もっと自分にできることがあったなら。そんな後悔の念が、彼の心を少しずつ蝕んでいった。やがて、カイリは「自分だけが生きているのは間違いだ」という考えに取り憑かれ、自己否定の感情が強まっていく。
彼の精神は、日を追うごとに崩壊していった。鏡に映る自分の顔は、憔悴しきって生気を失っていた。彼は、まるでハルカがこの世からいなくなったと同時に、自分自身もこの世からいなくなってしまったかのようだった。カイリの心は、妹を失った悲しみと孤独、そして病という鎖に縛り付けられ、二度と戻らない妹を求めて、深い絶望の淵をさまよい続けるのだった。
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とりまなんか書きたくなった
コメント
1件
はっ!!!タイトルが怒ってる!!!怒ってないよ起こっただよ!!!!