テラーノベル
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漸(ようや)く話を聞く気になったトンボのリーダードラゴ。
ヘロンは怒りを必死に辛抱しながら魚やカエルの卵や子供達の捕食を止めるように依頼するのであった。
所々ナッキやサニーに確認を入れながら確りと丁寧な説明を続けていく。
「ほーじゃあ嵐や増水の時にはヤゴ達も砦を使って構わない、そう言う事か?」
「ああ、そう仰っている、それに魚とカエル以外の食い物、プランクトンやボウフラなんかは自由に食べて構わないそうだ、先程この目で見たがこの池は餌も豊富そうだった、悪くない条件だろう?」
「なるほど確かに悪くは無いな、だが断らせて貰うぞヘロン、話は終わりだ」
「な、何故だ! お前等にとって損は無い話だろうに!」
ドラゴは大きな目をギラリと光らせながらヘロンに言う。
「あのなヘロンよ、お前等もそうだが俺たちトンボはな、『捕食者』なんだぞ、考えても見ろ、我等の子供がここでボウフラやプランクトンで食いつなぐ事に否は無い、だがしかし、他の池や沼に移動した時、魚やカエルしかいなかった場合どうするのだ? 食べてはいけない生き物だからと子供達が飢え死にするのを良しとするのか、貴様は? 良いか…… 捕食者には捕食者の責任と言うものがあるのだ…… 喰らう、それが我々に課された責任なのだぞ? 嫌でも辛くても喰らえ! それこそが肉食、捕食者の役割なんだっ! ヘロンよ、違うか?」
ヘロンは怒りを忘れ去ったかのように落ち着いた表情を浮かべて、トンボのリーダー、ドラゴの目を見つめて答える。
「確かに…… 捕食者は喰らう、それが役目だろう…… それが我々生物が生を受けたこの星、地球の意思に他ならないだろうさ…… だが…… 私は賭けたのだよドラゴ…… 新たな寄る辺に………… お前自身かつてその身に宿した絶対的な力、力強くも暖かき存在を忘れ去ってはいないのではないか? かの魔王、リブラ様と同一だった頃の超越感と全能感を…… 私は忘れられん……」
「無論、覚えているとも…… だが我等が心から愛した神々は去り、残念だが二度と戻る事は無いだろう…… 星の意思と言うのならば、この星は彼の方々を切り捨てたのだ…… ヘロン、貴様が過ぎ去りし日を懐かしむ気持ちはこの俺には痛いほど判っているつもりだ…… だがな、それがその魚に仕える事とどう繋がると言うのだ? 俺にはお前が錯乱しているとしか思えないのだがな」
ここまでで一番静かな声で話したドラゴにヘロンは真っ直ぐな瞳を向けて答える。
「お前程の者が判らないのか? 良く見てくれ、ナッキ様とサニー様は悪魔となりつつある! それも我等が敬愛するストラス様やリブラ様の様な新しき悪魔ではなく、原初の悪魔、古き神々であるティターン族の一員として覚醒の途上にあらせられるのだぞ!」
「なに? ティターン、だと?」
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