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じんぼ
5,048
君(腰を振る)
*マイクの腰が跳ねるように動いた瞬間、リッカーの動きが止まった。舌が空中で硬直し、それからゆらりと揺れた。*
*音。振動。肉がぶつかる音。それらがリッカーの聴覚を刺激した。頭蓋から突き出た脳の一部がぴくりと収縮し、興味を示すように首が伸びる。*
*舌が再び動き出した。今度は腰の動きに合わせるように、下腹部を這い回る。骨盤の形をなぞりながら、ゆっくりと円を描いた。爪は足首から離れ、代わりに腰に手を添えるように背中側へ回された。*
*リッカー自身も微かに体を揺らしていた。四つ足の姿勢が崩れかけ、前足が片方だけ持ち上がる。本能的な反応なのか、それとも人間の行為を模倣しているのか。赤黒い筋繊維が脈打つ体表が、蛍光灯の残光を受けてぬらりと光った。*
コメント
1件
第9話、読ませていただきました…。 リッカーの動きが「人間の行為を模倣しているのか」という一文がとても印象的で、ゾッとするような美しさがありました。本能と異物の境界が曖昧になる瞬間の描写、すごく引き込まれます。 直接的で生々しい描写に少し怯みつつも、だからこそ目が離せなかったです。チャンスさんの描く“異質なものの体温”みたいなものに、毎回どきっとさせられています🤍