ー翌日。
午前7時00分。
「ふあ〜。」
モモは7時丁度に起き、まだ少し眠い目をこすりながらベッドから出ると、制服に着替え部屋をあとにした。
トントンと階段を降りていくと、ふわっと食欲をそそるいい香りが漂ってきてぐぅとモモのお腹が鳴った。
「おはよう、おばあちゃん、ターボババア。」
「おうおはよう。朝飯出来てるから早く座れ。」
「おはよう。ふん、お前さんにしちゃ早えじゃねえか。」
「まあね。お腹空いた~。」
2人に朝の挨拶をしながらモモは朝食が並べられているテーブルの空いている席に座った。
おかず用の大きな皿に盛り付けられた目玉焼きにこんがりいい具合に焼きめのついたウィンナー、そこにちょんと添えられたミニトマトとレタス。それと納豆とほかほかの白いご飯。
どれも美味しそうだ。
「「「いただきます。」」」
3人は手を合わせて挨拶をしてから朝食を食べ始めた。
***
ー午前7時25分。
「「ごちそうさまでした。」」
「お粗末さまでした。」
朝食を食べ終えたモモとターボババアがまた手を合わせて挨拶をし、星子がそれに返事をした。
空になった食器を流し台に置いて、モモは玄関へと向かう。
「じゃあ行ってきます。」
「ん?もう行くのか?」
台所に食器を持って行こうとしていた星子がモモに声をかける。
「うん。今日は余裕もって行こうかなって。」
「そうか。気をつけて行ってこい。」
「うん。あっ、おばあちゃん。」
「何だ?」
「太郎の時間の件ありがとね。」
モモがお礼を言うと、星子は驚きの表情を浮かべたがすぐに表情を戻して言う。
「・・・何の事かさっぱり分からねえが、一応受け取っておくぜ。」
星子のその言葉にモモはフッと小さく笑う。
(やっぱり。そう言うと思った。)
「分からないならいい。行ってきます。」
「おう。」
「行く途中でくたばんなよ〜。」
モモが靴を履いていると、満腹になったターボババアが畳でゴロゴロしながらモモに声をかけて来た。
ターボババアなりの「いってらっしゃい」の挨拶だ。
「・・・行ってきます。」
二人に挨拶をしてガラガラっと玄関の扉を開け、モモは家を出た。
***
モモが家を出て敷地内を歩いて行くとでかい鳥居
が見えてきて、鳥居のそばにちりちり(?)ボサボサ(?) の黒い髪に眼鏡をかけて黒の学ランを着た少年が立っていた。
モモが昨晩会いたいと思っていたオカルンこと、高倉健だ。
「えっ!オカルン?」
「おはようございます、綾瀬さん。」
オカルンがぺこっと小さくおじぎをしながら朝の挨拶をした。
「どうしたの?何かあった?」
「いや、あの、久しぶりに綾瀬さんと2人で一緒に学校行きたいなと思いまして。」
目を泳がせながら言うオカルンにモモの胸がとくんと高鳴った。
「・・・・・嬉しい。」
「え?」
「何でもない。遅刻しちゃうから早く行こう!」
「え、あ、待ってくださいよ、綾瀬さん!」
嬉しさを誤魔化すように先に歩き出したモモの後をオカルンが慌てて追いかけ、2人並んで学校への道を歩く。
(そうだ。)
モモが隣を歩くオカルンの手をギュッと握った。
「えっ!どどどどどうしたんですか綾瀬さん⁉︎」
「プッ、どもりすぎ。ウケる。」
「ちょ、ちょっと!笑わないで下さいよ!」
「ごめんごめん。」
手を繋ぐのはこれが初めてではないにもかかわらずウブな反応を見せるオカルンに、モモは笑いながらも謝って続ける。
「うちのバカップルに当てられちゃってさ。」
「はい?何ですかそれ?」
「こっちの話!学校が見えてきたら離すからさ。それまではこのままで・・・ね?」
「うう〜。」
(そんな可愛い顔で言わないで下さい!!!)
心の中でそう叫びながら、オカルンは迷ったすえにモモの手をキュッと握り返した。
「!」
「・・・・学校が見えて来るまでですよ?」
「うん。」
顔をうっすらと赤く染めながら言うオカルンにモモも頬を赤く染めながらこくりと頷いた。
そして2人は手を繋いだまま学校への道を再び歩き出すのだった。
ーお互いに「学校が見えて来なければいいのに」と思いながら。
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