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「ふぁ〜…、ねっむ……」
俺は欠伸をして机に突っ伏した。いつもと変わらない教室の様子を、態々見るようなこともしない。面白みのないただの教室。
授業中はつまらないし、すぐ眠くなる。だからうたた寝とかしてるけど、すぐに教師から叩き起こされる…。
「早く帰りてぇ…」
そんなことを考えながら、ホームルームが始まるのをただじっと待っていた。
「お前ら、席につけー。」
担任が教室に入ってくるやいなや、割と大きな声でそう呼びかけた。眠すぎた俺の耳には騒音でしかなかった。
面倒くさい、と思いつつも、また叱られるのが嫌でゆっくり体を起こして頬杖をついて正面を向いく。
暫くホームルーム特有の特に意味のない先生の話を聞く。言わずもがな、俺は聞く耳を持たなかった。
「そして、今日は転校生がいるんだ。」
このクラスに転校生、またうるさくなんのかな…なんて思いつつ、ぽけっと扉の方に目を動かした。
「入って来ていいぞ」
俺は少しだけ驚いた。
入って来たのは、紫色の長い髪に整った顔付きの高身長の男、重たかった瞼が一瞬で軽くなった。
俺は、そいつに目を奪われた。
「自己紹介、していいぞ」
「…星導ショウです。…「星」に「導」と書いて、「ほしるべ」です。」
そいつは黒板に自分の名前を書いた。割と珍しい名前ではあった、周りの奴らも少しだけザワついてた。
特に女子、顔がいいからってすぐに騒ぎ始める。周りのザワつく声が邪魔で仕方がなかった。
「他に言うことはないか?」
「はい、ないです。」
「よし。星導の席は…あそこだ。」
そいつは俺の近くの席だった。俺が少しだけ斜め後ろに振り返れば、そこに星導が居る。その位置だった。
星導がその席に座ってから、俺はホームルームが終わるまでずっと星導の方を見ていた。
星導は授業の準備をしていて、俺の視線に気付いていないようだった。
しばらくして、ホームルームがやっと終わって、俺は星導に声を掛けようとした。けど、女子達に囲まれる様子を見て今は無理だって思って、頬杖をついて女子達が去るのを祈りながら、星導の席を見つめた。
「…はぁ、趣味ですか?…鑑定、とか」
「え、好きなもの?色々ありますけど…」
女子から質問攻めをされる様子を見て、気の毒だなぁなんて思ってた。机の中に仕舞っていたスマホを取り出して、時間を確認する。授業が始まる数分前…それでも席につかない女子達を見て、俺は少しだけ呆れた。
そして、少しだけ苛ついてた。