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今回は恋愛とワァンタジーです。
ほんぺんすたーと
星に願いを
その国では、夜空に浮かぶ星の数だけ「運命の糸」が存在すると言われていた。糸は見えないが、心が深く結びついた者同士の間には確かに存在し、ふとした瞬間に相手を導くのだと。
リュカは辺境の村に住む星読みの青年だった。夜ごと星の動きを記録し、村人たちに吉凶を伝えるのが彼の日課だ。だが、彼には誰にも言えない秘密があった。夜空を見上げるたび、ひときわ強く輝く青白い星があり、その星を見るたびに胸の奥が熱くなるのだ。
ある満月の夜、その星の下に光の道が降りてきた。驚きながらも引き寄せられるように森の奥へ進むと、湖のほとりにひとりの少女が立っていた。銀色の髪に、星の光を映すかのような青い瞳。
「あなた…この星の導きで来たの?」
少女はセルフィアと名乗った。彼女は「星守」と呼ばれる存在で、運命の糸を見守る役目を担っていた。しかし、ある日、何者かが星の力を乱し、多くの運命の糸が絡まり、時に断たれ始めているという。
「あなたなら…この混乱を止められるかもしれない。あなたの糸は、どの星守にも見えないほど強く輝いているから。」
リュカは迷いながらも、セルフィアと共に星の運命を正す旅に出ることを決意した。道中、二人は互いの過去や夢を語り合い、次第に心を通わせていった。やがてリュカは気づく——自分を引き寄せていた青白い星は、セルフィア自身だったのだと。
運命の糸を正す最後の儀式の日。星の光に包まれたセルフィアは静かに微笑んだ。
「運命を紡ぎ直せば、私は星に還る。でも、あなたの心に私はずっといるわ。」
「そんな運命、僕は望まない…!」
リュカは星の力に逆らい、セルフィアを強く抱きしめた。その瞬間、無数の糸が光となり、星空へと舞い上がった。運命は書き換えられ、セルフィアは消えることなく、リュカの隣に立っていた。
「心が誰かを強く望むとき——それもまた、新しい運命を紡ぐ力になるのね。」
その夜、空には新たな星が生まれた。それは、ふたりの変わらぬ絆を象徴するように、柔らかな青白い光を放ち続けたという
終わり