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恩讐の彼方に、真珠夫人、藤十郎の恋、
父帰る、屋上の狂人、無名作家の日記
＿＿＿ 菊池寛
龍。お前は難しい奴だ。
それは一緒に居た俺だから、いや、俺だけじゃない。
他の皆だって分かってる。
お前は許容範囲外の無理をする所が或る。
生きるという仕草を、単純にはせず、遠くを回って行う。
そんなに無理しなくて良いんだぞと言っても
お前の行動を止められる人間なんか居ない。
其れは此の長い付き合いで分かり切った事の一つだ。
私生活は煙草ばかりで、風呂も嫌いで。
どうしようもない。
だが龍。お前は筆をを持つと人が変わる。
お前の作品は家族のような温かさの中にぽつりと咲く
カルミアの様だと思う。
お前の新作を最初に読もうとすると絶対に、
「そんなに僕の小説好きなの？駄作かもしれないのに？」
と云うが俺はお前の書く文章のファンの一人だ。
他にもお前の文章を好む奴なんてごまんといる。
だから自信を持ってくれ。
ー 追記 ー
何時も隣に居るあの小さい河童は本当に何者なんだ。
後、風呂にちゃんと入れ。
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