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鷹槻れん

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瑠璃香の怒った様子に、晴永も譲歩する気になってくれたらしい。
「じゃあ訂正する」
「訂正?」
腕の中の瑠璃香を見下ろして、晴永がフッと不敵に微笑んだ。
「無茶はするが、無謀はしない」
「……」
「これでどうだ?」
「何も変わってません!」
ぷんすかしながら言い返すと、晴永が声を上げて笑った。
怒らなきゃいけないと思うのに、気が付けば瑠璃香もつられて笑っていた。
不思議、だった。
少し前まであれほど苦しかったのに、今は晴永と二人、こうして笑えている。
「……瑠璃香。頑張る俺に、ご褒美……くれるよな?」
ひとしきり笑った後、晴永が瑠璃香の名を呼ぶ。
「はい」
立ち止まっていた晴永が、先ほどより気持ち速いスピードで寝室を目指す。
瑠璃香は少しだけ照れながら、晴永の胸にそっと寄り添った。
外ではまだ雨が降り続いている。そこに、なまこが軽快な様子でカラカラと回し車を回す音が小気味よく混ざっている。
今夜はもう、不安に押し潰されることはなさそうだった。
明日から始まる戦いの前に……二人はお互いの温もりを確かめ合うため、寝室へと向かう。
明日は大事な日なのに、早く眠れる気がしなかった。
***
昨夜は結局、夜通し瑠璃香を求めてしまい、あまり眠れていない。
寝不足は本来なら大敵だ。
だが、瑠璃香と一晩を過ごせたことは晴永にとって精神的な安定をもたらしたらしく、いっそ清々しいくらいにスッキリした朝だった。
朝食を終え、出勤の支度を整える。
玄関先で晴永が靴を履くのを、先に靴を履き終えた瑠璃香がバッグ片手に待ってくれていた。
「今日は……お仕事が終わったら、お祖父様のところへ行かれるんですよね?」
晴永が立ち上がると、瑠璃香がじっとその顔を見上げてくる。紡がれたセリフはどこか心配そうな響きを持っていた。
「ああ」
そんな瑠璃香を安心させたいみたいに、晴永はなんでもないことみたいに短く頷いてみせる。
「あのっ。昨夜も言いましたけど……あんまり無理はしないでくださいね?」
無理はすると宣言したのに、瑠璃香はどうしても晴永に無茶なことをさせたくないらしい。
眉根を寄せる瑠璃香に、晴永はククッと笑った。
「ああ、無謀なことはしないでおく」
昨夜同様の返しをすると、瑠璃香がぷぅっと頬を膨らませて晴永を睨みつけてきた。
「家で美味しいご飯を作って待ってますからっ! ……絶対元気に帰ってきてください」
てっきりまた叱られるかと思ったのに、斜め上の返答がきて、晴永は思わず瞳を見開いた。
「笑顔で食べてくれないと……私、本当に泣いちゃいますからっ」
「参ったな」
「え?」
「祖父さんに夕飯でも食っていけって言われても、断らなきゃいけなくなった」
瑠璃香がハッとしたように息を呑んだ。
「あ、あの……私……」
無茶なことを要求してしまったのは自分だったとソワソワする瑠璃香を、晴永はそっと腕の中へ包み込むようにふんわりと抱き寄せる。
コメント
2件
きっとるりかちゃんのご飯がはるながさんの活力源よꉂꉂ ( ˆᴗˆ )
読み終えたよ〜!🌸 今回もめっちゃエモかった…😭💕 「無茶はするが無謀はしない」のやり取り、もう何度も読み返したくなるやつだよ!! 瑠璃香が「笑顔で食べてくれないと泣いちゃいます」って言うとこ、健気すぎてキュンが止まらない…っ!! なまこが回し車回してる音が日常の温かさを感じさせて、ふたりの穏やかな時間が沁みる🥺💞 明日の戦いが気になるけど、今夜はこの温もりに浸って応援するね!! 鷹槻れんさん、素敵なエピソードをありがとう〜✨