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夏祭りの日から一週間が経過していた。
美華にはこれといった症状はなく、毎日楽しく八尾と過ごしている。
「八尾君、ここ教えて〜」
「あ、ここはね〜__」
教室の隅で、陽キャ達と津雲が話している。
「やれやれ、やっとか。」
「無事結ばれてオールOKって感じよな。」
「これで八尾もリア充の仲間入りだ。」
陽キャ達は好き勝手話している。
「だが、お前達とは釣るまんと思うぞ?」
津雲がそう言うと陽キャ達は大笑いした。
「違いねぇやwハハハww」
津雲は八尾を見て、「本当に…おめでとう…」
と思った。
今日は実力テストがあった。
「皆〜、夏祭り後で気分がまだ浮かれてるとは思うが、テスト頑張れよ〜。」
担任はそう言い、テスト用紙を配った。
実はこの一週間、八尾と美華は鬼のように勉強していた。その甲斐あってか、スラスラと解いていく。これには津雲も皆も呆気に取られていた。なんせ皆と解くスピードの次元が違うのだ。
津雲は「覚醒してんじゃねぇか……」と思った。
翌日、結果が明かされた。
津雲は呆然としていた。そこには信じられないことが書かれていたのだ。
一位 八尾 500
二位 美華 498
三位 津雲 423
なんと八尾は全教科満点だったのだ。
津雲もそろそろ自分も彼女探すかと内心思い始めていた。
が、彼女がいればいい点を取れるというわけではない。元々あった八尾の実力が開花しただけのことだと津雲は考え直した。
八尾は以前と比べると断然笑っていることが多くなっていた。
それを見ていると津雲は、微笑ましく思った。
美華はといえば、八尾にベッタリくっついていた。が、八尾は紳士的に接していた。
その光景を見て周りの女子達は羨ましがっていた。
「いいなぁ、美華ちゃん。最高の彼氏持ってて……」
「羨ましいよぉ……」
「津雲君〜私と付き合ってよぉ〜そしてなでなでしてよぉ〜〜」
津雲は困ったような笑みをこぼし、
「お前今彼氏いるだろ?!」と言った。
「その彼氏振るから〜」
「可哀想すぎるだろその彼氏ww」
「もう!津雲君の意地悪〜。」
こちらもこちらでいい雰囲気らしい。
放課後……
八尾は美華と歩いていた。
今回は美華に紹介したいところがあるので、
いつもとは違うルートで帰っていた。
「やっぱり八尾君は凄いなぁ…全教科満点なんて……なかなかいないよ。」
「そうかな…人間性の点はもっと上の人いるよ。」
「何それ〜私にとっては八尾君はー番人間としてできているよ!」
八尾は赤くなった。嬉しい。その感情がこみ上げてきた。
「あのさ、美華ちゃん。今年の冬…イルミネーションがあそこの公園で開かれるらしいよ。」
八尾が指さす方には、かなり大きい公園がありその中心には見上げるほど大きな木があった。
「わぁ…大きな木……」
「ここのイルミネーション…綺麗なんだよ。去年は津雲と行ったっけ…。」
美華は大喜びして、こう言った。
「見たい!見たい!八尾君!その日一緒に行こ!」
「うん、一緒に見ようね!」
夕焼けの照らす公園に、二人の姿がポツンとあった。
その他に居るとするなら、鳩くらいだった。
そこから2ヶ月……
連続でテストがあった。結果はこんな感じだった。相変わらず八尾は一位だった。
定期テストⅡ
一位 八尾 499
二位 美華 498
三位 津雲 465
実力テストⅢ
一位 八尾 477
二位 美華 465
三位 津雲 421
津雲は参ったなこりゃという顔をした。
そんな津雲を見て、八尾は少し思い当たることがあった。
美華と付き合ってから津雲とはあまり関わらなくなった。というか、津雲の方から関わってこなくなった。
何故だろうか。八尾は疑問に思っていた。
「気なんか使わなくていいのに……」
そう呟いた。