氷ちょうだい

寝室に入ると、毛布に包まりながら、岩本の名前を呼び続けている。

渡辺ーひかる・・ひかる・・。

岩本ーごめん。電話してた。

渡辺ーそばにいなきゃだめだ。

岩本ー水持って来ようか？

渡辺ーん。

岩本ーはい水。

渡辺ーん。

岩本ー自分で飲む気ないのな？

渡辺ーん！

岩本ーはいはい。

水を口移しで飲ませる。

喉に溢れた水を岩本が舐める。

熱いキス。

渡辺ー楽しかった？

岩本ーん、刺激になった。

渡辺ーひかる・・かっこよかった。

岩本ーふふふ、ありがと。

渡辺ー頭痛くないし、熱ない。

岩本ーまたぶり返して病院行くの嫌だぞ？

渡辺ーひかる、気にしない。

岩本ー気にするわ。また控えましょうね〜って言われる。

渡辺ー言われるのは俺だろ？

岩本ー言われる頃は唸ってるだろう？俺が言われてるみたいなんだけど？

渡辺ー大丈夫！アイスノンと冷えピタで乗り切る！

岩本ーもぅ！

渡辺は笑いながら首に、腕を絡ませてくる。おでこを触ると、確かに熱はなさそう。

絶対、病院には行かないと約束してキスをする。

渡辺ー今度、病院行ったら、笑われるだけじゃ済まないな。

岩本ー分かってるなら、大人しくするって選択はないの？

渡辺ー寂しかったもん。

岩本ー1ヶ月も、2ヶ月も行ったわけじゃないぞ？

渡辺ーでも、苦手なADさんに、ずっと見られて嫌だったし。

岩本ーちょっと待て、何のこと？

渡辺ーあっ、目黒と内緒だって言ってたのに。

岩本ー目黒は知ってるの？

渡辺ー相談した。

岩本ーそこ！何で目黒なの！俺でしょ？

渡辺ーん〜何でだろ？

岩本ー仲良し過ぎると怒るよ？

渡辺ーはいはい。

岩本ーあっ、気に入らない返事。

渡辺ー分かりました、ひかるにも、ちゃんと相談します。

岩本ーにも？俺だけにしなさい。

渡辺ーいや？それは無理。

岩本ー寝る！

渡辺ー怒んなくていいじゃん！ソファで寝る！

岩本ーばか？病人が！

渡辺ー元気だし！

岩本ーおいで？

渡辺ーいや！ひかるが来い！

毛布を持ち、ベッドから抜け出てドアのところにいる、渡辺にゆっくり近づいて行く。

黙って、渡辺を抱き抱え、ベッドに放り込む。

渡辺ーひかる！荷物じゃないぞ！

岩本ー愛し合いたいの？寝たいの？

渡辺ーそんなの決まってる。

岩本ーどっち？

渡辺ー・・。

岩本ー言わなきゃ寝るけど？もう日付が変わってるし。

渡辺ーひかる・・ひかる・・。

岩本ー抱きついて来てもだめ、ちゃんと言って？

渡辺ー・・ひかるがほしい。

渡辺ーはぁはぁ・・あっ・・あっ・・もっと・・。

岩本ー熱くないか？

渡辺ーいい・・はぁ・・はぁ・・おく・・きて・・。

渡辺ーだめっ・・でる・・はぁはぁ・・。

いつもより激しく愛し合って、熱がぶり返した。

絶対、病院には行けない。

アイスノンと冷えピタで我慢している。

渡辺ーひかる・・。

岩本ーだから、言ったろ？

渡辺ー今は何度？

岩本ー38.6度。

渡辺ー氷ちょうだい。

岩本ーほんとにもう！

口移しで氷をもらう。

カラカラいわせながら、唸っている。２時過ぎ、熱を測る。

39.4度。

ため息を吐いて、岩本は渡辺を抱き上げる。

完