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お風呂で溺れてしまった
『はー・・・癒やし〜・・・』
長時間説教をされて疲れた身体にお湯の温かみが沁みる。
「お湯加減は如何でしょうか?」
脱衣所で控えているフェネスが声を掛けてくれる。
『ん〜最高だよ〜』
「ふふ、ありがとうございます」
主は肩まで浸かってじっくりと身体を温める。
そしてそのまま気持ちよくなって眠ってしまった。
「主様、そろそろお身体を洗わせていただけませんか?」
フェネスがうんともすんとも言わない主を心配して声を掛ける。
しかし、返事はない。
「・・・仕方ない・・・、主様!失礼いたします!」
フェネスは風呂場に突撃し、主の様子を見に行った。
主は頭まで湯に浸かっていて、泡も出ていなかった。
「あ、主様ーーっっ!!!!」
これは死んでいると直感したフェネスは急いで主を引っ張り上げ、脱衣所にタオルを敷いて寝かせた。
勿論上からタオルを掛けている。
「主様!すぐに水を抜きますから!」
フェネスは主の胸を押して水をできるだけ吐かせる。
骨が折れない程度に圧迫して水を吐かせ、気道を確保して息を吹き込む。
このように救命措置をしておけば回復が早いと聞いていたためだ。
何度か息を吹き込んでいると主の手がピクリと動き、げほげほと咳をして肺に残っていた水を吐き出した。
「よかった・・・主様・・・大丈夫ですか?」
『げほっ、う゛ん゛、な゛んどが・・・ごほっ』
それにフェネスは返事をしなかった。
主は嫌な予感がしてフェネスを見上げる。
『ど、じた?』
「これからはお風呂はずっと付き添います」
『え゛・・・』
「決定事項です。ベリアンさん達にもお伝えしますからね」
『ま゛っ・・・』
主の癒やしのバスタイムはフェネス同伴となってしまったのだった。