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恋の季節を越えて

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恋の季節を越えて

12 - 文化祭(前編)—きらめきの開幕—

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2025年04月23日

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校門の前からにぎやかな音楽と声があふれていた。三年生最後の文化祭。晴れ渡る秋空の下、陽たちのクラスのカフェには朝から行列ができていた。
「いらっしゃいませー!」


エプロン姿で声を張る澪は、笑顔を絶やさず接客に立ち回っていた。その様子を見ながら、陽は心の中でつぶやく。


(……なんか、遠いな)


最近、澪と目が合うたびにぎこちなくなってしまう自分がいた。受験のこと、片桐のこと、気にしすぎだと分かっていても。


「ねぇ陽、仕事代わってくれる?」


花が声をかけてきた。陽はハッとして、「あ、うん」と頷いた。花は少し笑って、「無理しないでね」と軽く手を振った。


午後になり、各教室を自由に回れる時間。陽はひとり廊下を歩いていたが、視線の先に見覚えのある背中を見つけて足を止めた。


——片桐悠真。

陽の隣のクラスのイケメンで、最近なぜか澪とよく話しているらしい。


「澪ちゃん、ステージのあとちょっと時間ある?」

片桐が気さくな声で話しかけている。その手には、2人分のドリンクが。


陽は思わず目をそらした。

どうしてそんなに気になるのか、自分でもよくわからない。けれど胸の奥がざわついていた。


一方、教室裏のベンチに腰かけていた柚葉は、友達に勧められて来たという演劇を見た帰りだった。


「文化祭って、思ったより楽しいかも」


ポツリと呟いたその時、偶然通りかかった迅が声をかけてきた。


「楽しんでるじゃん。柚葉ちゃん、来年は中心になって準備しないとだよ?」


「え、やだ。裏方がいいです……」


「その割にはずっと笑ってたけど?」


不意に図星を突かれて、柚葉は照れたように笑う。

気づけば、陽に向いていた視線が少しだけ、隣に立つ迅の方へと揺れていた——。

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