テラーノベル
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頭を抱えて絶叫すると、泉名は驚きつつも心配そうに首を傾げた。
「俺漫画読み耽って何も勉強してないし、大事な奴に大事なモン奪われて危機的状況なんだ! 助けてくれ!」
「全然分かんないけど、何か大変みたいだね……場所変えようか」
トイレに移動し、俺は意を決して彼に打ち明けた。
「泉名。もし俺が学校中で変態扱いされても、ずっと友達でいてくれるか?」
「何……? 怖い……」
泉名は自分の腕をさする。寒気を感じてるようだ。
「俺、実は変態なんだよ」
「知ってる」
「男同士の濃厚なエロ小説とか自分でたくさん書いてて」
「知ってる」
「それを未早に奪われた」
「知っ……いや、聴かなかったことにするよ。じゃあまた。テスト期間終わったら部活で会おう!」
泉名は爽やかな笑顔で立ち去ろうとしたから、俺は彼の腕を掴んで必死に懇願した。
「待って! 頼むから奪い返すの協力してくれ! もうお前しか頼れる奴いないんだよ! BL研究会の会長であり生徒会長であり吹奏楽部部長のお前しか!」
「それ別に関係ないだろ! 大体、何で未早君がそんな物を盗むの? 証拠はっ?」
「し、証拠はないけど……俺の本能がそう言ってる。間違いない」
「被害妄想だよ、それは。未早君が腐の世界に興味あるなら、面白がって盗る可能性はあるけど」
言ってから、泉名はハッとして振り返った。
「まさか、未早君が腐男子だと?」
「いやいや、腐男子ではないと思う」
ゲイではあるけど。でもそれを知ったら、泉名は意地でも未早を研究会に引きずり込むはずだ。それだけは阻止せねば。
「とにかく頼むよ。アレを悪用されたら、俺は終わりだ。後あいつに嫌われても終わりなんだ……できるだけ穏便に、本を奪い返したい。協力してくれないか」
「紅の管理能力の無さが原因だと思うけど……しょうがないな。最後の最後に部活でトラブルが起きても面倒だし、手伝うよ」
「泉名……サンキュー、やっぱりお前は一番の親友だわ! もし同じ大学行ったらまた研究会作ろうな」
「いや、最近気が変わってさ。大学まで紅と一緒にいたいと思わなくなったんだよね」
「分かった! もうこれっきりにするから手伝ってくれ!」
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