「この時の涼ちゃんは本当に女神だよね」
「···嬉しい、元貴もキラキラで素敵だったよ?」
あの頃は想像出来なかった、こうして2人恋人として隣に座り手を繋いで昔のライブを振り返る日が来るなんて。
「なんかどの曲が印象的だったとかある?」
「ふふ、なんか雑誌での対談みたい···僕はね、やっぱりBFFかな···いつだって皆に届くように弾いてるけど、あの空間は3人だけみたいな···それにあとで映像見返してあんなに元貴が僕と若井を見つめてくれてたんだなぁって改めてね、嬉しかった」
「確かにね、特別な空間だった」
元貴が僕たち2人のために創ってくれた曲···いつだって全ての気持ちを込めて歌ってくれる曲。
小さく息を吐いて頭を元貴の肩に乗せると、 元気ない?って 心配そうに顔を覗き込まれた。
「ごめん、ちょっと思い出しちゃっただけ···あの時僕は元貴に片思いしてたから曲が嬉しい半面切なくて」
「なんで?」
「BFFって永遠の友達って意味でしょ?それって友達にしかなれないってことなのかなって···ごめん、いやだって意味じゃなくて」
「わかるよ···だって俺も友達の好きだけじゃ足りないから。友達でもあり、愛する人···」
元貴の手が僕に伸びて頬を優しく撫でる。
「僕のことを愛してる?」
「心から愛してる」
その深く黒い瞳に吸い込まれそう。
両手で頬を包まれる。
いつだって暖かくて優しいその手が大好き。
「誰よりも?」
「世界でいちばん」
見つめ合ったまま、頬を包む元貴の手に自分のを重ねる。
ただ触れ合うことがこんなにも幸せなんて。
「ずっと、永遠に?」
「一生···あなただけを」
じわり、と視界が滲む。
嬉しくても泣いてしまう泣き虫な僕を許してね。
「僕だけがこんな言葉を聞けるなんて···もったいなくて自慢したくて、けど誰にも聞かせたくない···」
「他の誰にも言わないけど貴方には何回でも言うよ···だから全部受け止めて」
もったいないほどの愛、誰にも譲らない、全部受け止めるよ。
「俺の愛の全てを受け止めてくれますか?」
唇が頬に優しく触れる。
美しい声が耳元で聞こえた。
「全部、僕の···ひとつ残らず」
「···うん、そうだね」
僕の涙はすぐに溜まって瞳からこぼれ落ちる、感情が溢れるとすぐに泣いちゃう、そんな僕も好きと言ってくれる元貴で良かった。
ぺろっと頬を舐められて、くすぐったい、と笑いながら元貴に抱きついた僕は、明日の仕事のことを考えた。
「明日、まぁまぁ早いよね···?」
「まぁ···だから今日はそのつもり無かったんだけど、今、愛を確かめなくていつ確かめるって感じだと俺は思うけど涼ちゃんは?」
負担を僕にかけないようにといつも気を使ってくれる元貴が困った顔で笑う。
「ベッドいこ?」
僕に手を引かれて静かに元貴は寝室へ着いてくる、これはYESなのか?と少し戸惑っているのがわかる。
「愛を感じてほしい」
ベッドに元貴をゆっくりと押し倒して唇や首筋、胸へと舌を這わす。
服を脱がせてあそこもここも全てが愛しくて手と口で優しく触れる。
「···ん、涼ちゃんの愛は優しくて甘いね」
ハァ、と気持ちよさそうに息を吐き身体が少しずつ赤く熱くなっていく元貴を見ながら僕も服を脱いだ。
跨ると元貴のをそこに当たるように腰を動かす。
「だめだって、俺に触らせて···」
元貴と同じ性の僕は自然に受け入れるようには出来てなくて元貴が慌てて止めようとする。
いつも嬉しいその気遣いだけど、今は不要だ。
ぐっ、と体重をかけると中から準備していたものがとろりと溢れてそこをスムーズに飲み込んでいく。
「ん、くぅ···」
「ぁ、りょ、ちゃん···」
「僕だっていつも元貴を求めてる」
優しいだけじゃない、いつだって元貴が僕だけのものにしたい、誰にも触らせないで飲み込んでしまいたいくらいの思いがあるのがわかる?
「涼ちゃんには敵わないなぁ···」
「ぁっ、んっ!」
そこからは元貴のスイッチが入ったのか、下から攻められたり体勢を変えて僕は頭が真っ白になってけどひたすらに好き、と言葉にしながら心ゆくまで溶かされた。
ふかふかのベッドで元貴の側にくっついてまどろんでいるこのわずかな時間は僕にとって本当に幸せな時間だった。
「うさぎ···インコ?犬···うーん、ハムスターとかもいいなぁ···どう思う?」
「なんの話···?」
「いつかこの業界から引退したらさ、田舎のほうで一軒家で···何か一緒に過ごせるかなぁって。まぁすっごく先かもしれないし、意外と早いかもしれないけど」
「···その元貴の未来に僕はいるの?」
「当たり前じゃない、涼ちゃんがいないと俺困るよ」
いつかは必ず来るだろう終わりの話。若井には謝らなきゃいけないな、悲しいより嬉しい気持ちがあるなんて。
「どこにいても何してても···涼ちゃんがいるところが俺の居場所」
「東京じゃなくても?」
「うん」
「ペンギン飼いたいとか言っても?」
「なにそれ可愛い。水槽作るよ」
「青リンゴの樹を庭に植えても?」
「涼ちゃんが食べてくれるならお世話しますよ、いっぱい採れたら若井に送りつけよう」
「毎日同じベッドで寝たいっていっても?」
「最高じゃん、っていうか俺がお願いする」
もうだめだ、今日の元貴は絶対僕を泣かせようとしてるんだ。
今度はたくさんたくさん頬を涙が伝って枕が濡れていくのがわかる。
「だからもう少し、俺のワガママにつきあってね」
「···も、ときの夢はっ···願いは、思いは···わがままじゃないっ···僕らの夢でもあるの···」
「ありがとね···」
泣きながら、言葉につまりながら喋る僕を抱きしめてくれた。
さぁ、もう寝ようねって元貴の声が耳元で聞こえて、すやすやと穏やかに眠る音が聞こえてくるまではあっと言う間だった。
また朝がくれば目まぐるしくも楽しい時間が始まる。
神様、僕はいつまでも賢く順番待ちをしています。
だからどうか、元貴のワガママが少しでも永く続きますように。
···そのあとはどうぞお任せください、僕が隣で幸せにしますから。
コメント
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好き好き好きいっ❤幸せの形って色々あるよね♪逆にリナは東京にいきたい!松山である程度の経験積んだら行きたいA型事業所が東京だから⋯って、全然関係ないな。すいません。