恋の花弁

「やっぱ､なんか､キモイわお前。」

「…え」

「別れてくんね？」

「別れるって…なんで？」

「想像と違ったわwじゃな」

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「…はぁ…なんで今この夢見るのかな…」

私は、紅山 楠那(あかやま なな)

今日から高校1年生｡

「…よしっ！切り替え切り替え!!」

ﾊﾟｼﾊﾟｼと頬を叩き、ベットから立ち上がる。

あんなの忘れなきゃ。

喝を入れて前向きに考えよう。一つの経験として考えるんだから！

髪の毛は少しアイロンを掛けてオイルを付ける。

唇は薬用リップで乾燥させない。

日焼け止めはちゃんと塗る。

朝ごはんもちゃんと食べる。

いつも通り。忘れ物はない…多分。

制服は膝上でも良くなったから膝上。

最後に前髪整えて｡

「行ってきます！」

ドアを開けると、小学生達が楽しそうに走っていた。

「いいなぁ…」

駅前まで、少し走ろうかな。

気分転換にね！

ﾀｯﾀｯﾀｯﾀｯ…

もう着いちゃった。

10分も早い。

『もう着いたよ〜!!』っと。

友達の花ちゃんにLINEをすると

『ごめーん！今行く！』

と返事が来た。もう少しかな。

行き交うサラリーマンや学生を見ながら、

待っていると、隣からトントンと肩を叩かれた。

振り向くと、チャラそうな男の子達が居た。

「ねぇ、北山高校でしょ？俺ら西川なんだけどさ、これから、サボって遊ばない？」

バシっと手を掴まれ、囲まれた。

「…あ、えっと…」

どうしよう。

花ちゃん来たら、花ちゃんも絡まれちゃう。

「すいません…友達が…来るので…」

「え？友達も一緒に遊ぼーよ!!」

なんでよ…

「結構です…」

「はぁ！？誘ってやってんだろ？早く付いてこいよ！」

さっきより強く握られ、痛っと声を上げる。

誰か助けて…

周りを見渡すと、皆が見て見ぬ振りをして通り過ぎて行く。

もう、どうしよう…

そう思った時。

「何やってんの？」

声を掛けられた。顔を上げると､身長の高い男の子が絡んできた人達を睨んでいた。

「いや、この子と遊ぼうかなって！」

「は？嫌がってそうだけど？」

助け求めるなら…今じゃない…？

「あ、あの…助けてください…っ」

蚊の鳴くような声で言ったその声は届いたのか分からない。

でも、男の人は私を見て微笑んでくれた。

ﾄﾞｷｯ

今は、ドキドキしてる場合じゃないけど…

かっこいいと思っちゃった…

「とりあえず､手。離しなよ。」

「は、はぁ！？無理に決まってるだろ」

「そっか。じゃあ遠慮なく。」

そう言うとその男の人は絡んできた人のお腹を殴った。

「…ったぁ！？何すんだテメェ！」

そう言って手を離してくれた。

その代わりに男の人を殴ろうとした。

危ないっ！

私は男の人達の間に入って両手を広げた。

その瞬間、絡んできた人は手を止めた。

言うなら今だ。

「辞めてくださいっ…!!警察呼びますよっ！」

そう言うと、舌打ちをして足早に逃げていった。

その時、恐怖から解放され、緊張が解けたのか､力が抜けて座り込んでしまった。

そうだ！

「あ、あのありがとうございましたっ！」

そう言って見上げると、

「良いよ。大丈夫?」

そう言いながら手を差し出してくれた。

甘えて、手を借りて立ち上がった。

「君、学校一緒だ!!新入生？」

「は、はい！」

すると、にこっと笑って

「入学おめでとう｡俺､3年2組の佐藤 悠羽(さとう ゆう)｡よろしくね。」

「あ、紅山 楠那です｡よろしくお願いします！」

「うん。よろしく。」

優しいなぁ…

すると、遠くから花ちゃんが走ってきた。

「楠那〜!!おはよう!」

「花ちゃんおはよう!」

「って、誰このイケメン…」

とコソコソと聞いてきた。

「悠羽先輩だよ。助けてくれたの。」

「よろしくね。」

「あ、町永 花(まちなが はな)です。よろしくお願いします!!!」

すると、もう1人走って向かってくる人が見えた。

「ごめーん！悠羽!!普通に寝てたわw」

「向陽(こうよう)何回電話掛けたと思ってんだよw」

「めんごめんご。って誰この可愛い子」

「新入生の子。さっき西川の輩に絡まれてたの助けた」

「まじか。西川相変わらず治安悪ぃな｡俺、長浜 向陽(ながはま こうよう)。よろしくな！」

「よろしくお願いします」

すると、電車の時間が迫っている事に気がついた。

「あ、もう時間が…」

「一緒に行こうぜ！」

「はいっ！」

そして、4人で電車に乗って学校に着いた。

「じゃあ、また今度ね。」

「はい！ありがとうございました!!」

手を振って教室に入っていった先輩達を見て

優しかったなぁ…と思った。

「で！楠那大丈夫だった訳！？」

「あ、うん。お陰様で…えへへ」

「もー！気を付けなさいよね！私も早めに行くようにするわ!!」

「うん。それと、同じクラスで良かった」

「それな」

そう笑いながら、教室に入る。

今日からここで授業を受けるんだ。

頑張らなきゃね。