テラーノベル
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あれから一週間が経った。
キッチンはまだちょっとだけ粉とクリームの残り香が漂っているけど、
少しずつ片付いてきていた。
涼ちゃんは相変わらず天然全開で、
「ねぇねぇ、今日は何を作ろっか?」と目を輝かせている。
若井はちょっとだけ料理の腕が上がった気がして、
「今日は焦げないようにがんばるよ」と自信満々に答えた。
僕はそんな二人を見て、
「まあ、少しは進歩してるよな」とほほえんだ。
ただ、まだキッチンに入るときは、若干の覚悟がいる。
油まみれの床で滑って転ばないように、毎回慎重に歩くのだ。
全く、誰の家だと思ってるんだ。
「今日こそ大惨事なしでいこうぜ!」と若井が意気込むと、
涼ちゃんはにっこり笑い、
「でも、失敗しても笑いに変えればいいんだよ!」と天然節全開。
僕はその言葉に感心しつつ、
「まあ、それが涼ちゃんらしいか」と納得した。
そんな三人のゆるくて賑やかな日々が、少しずつ僕の心を癒していった。
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