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元貴 side …
目が覚めると布団の中だった。ぼやける視界の中で辺りを見渡すとやはりベッドの上だった。ゆっくり起き上がると体が綺麗になっていることに気づいた。若井が後処理をしてくれたのだろう。こういうほんの少しの優しさでまた好きになってしまう。ほんと俺ってバカだな。
すると廊下から足音が聞こえてきた。足音は徐々に寝室に向かってきている。俺は再び布団の中に潜り込み、寝たフリをする。その時、扉がガチャっと開く音がした。
「…」
バレないように布団の隙間から少し見てみると、若井はお風呂上がりのようだった。上裸で、首にタオルをかけていた。すると若井が俺の隣に背を向けて座る。ベッドがギシッと軋む音がする。若井は俺の隣に座るなり、棚の上に置かれたスマホを取り誰かと連絡しているように見えた。予想の着いていたことだ。俺はシーツをぎゅうっと握りしめた。
「…もしもし?」
若井が電話を始めた。声のトーンからして、浮気相手なのだと分かった。すると若井はスマホを棚の上に起き、クローゼットからパジャマを取り出し着替え始めた。電話はスピーカーに設定されていたため、しっかり俺にまで会話が聞こえる。
「もしもし滉斗ー?今月の20日って会える〜?」
キンキンした高い声の女だ。20日は元々2人で家で過ごそうと話していた。だがつい最近、若井から予定ができそうという理由で、俺たち2人の時間は消された。まさかこんなことの為に俺との時間を削ったの?俺は胸の奥がドクドクと鳴るのが分かった。すると若井はんーと悩んだ後、女の問いに答えた。
「んー…いいよ?夜でしょ?笑」
「せーかい♡可愛い下着買ったから滉斗に見て欲しかったんだぁ♡」
望まない回答に頭が真っ白になる。下の名前で呼び合うような関係だったの?女の言うことも分かってしまうぐらいにお互いを知り合っていたの?気づかぬうちに頬に涙が伝ってくるのがわかった。すると女は、若井にある事を問いかけた。
「でもさ、滉斗恋人?彼女サン?いるんでしょー?元々彼女サンとの予定あったんでしょ?大丈夫なの?笑」
若井は、その問いにヘラヘラ笑いながら答えた。
「あーその辺は全然大丈夫笑アイツ鈍感だし、それに浮気してもなんも怒んねーし笑なんか口答えしてきてもアイツ弱いからさー笑」
その若井の答えに流れていた涙がスっと止まった。そっか。若井は俺の事もう恋人とも思っていなかったんだ。俺だけが夢見ていたんだ。若井は俺との未来だなんて、何も考えていなかったんだ。俺は握りしめていたシーツを離した。
もう全部どうでもいいや。若井がその気なら、俺もその気になってやるよ。
俺の中で何かがプツンと切れたのがわかった。