テラーノベル
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私は、今、不幸だ。
もっとも、「不幸」と言えるほどの出来事はないが。
「不幸と言える程の出来事が有ったら、皆さんも気にかけてくださるんでしょうかね、、、、」
夜の帳が降りた、ひとりぼっちのオフィスで日本はつぶやいた。
目の前には、残り3枚の書類が置いてあるだけである。
要は残業だ。
朝から夜まで残業。
帰っては、ネット小説を見て、寝るだけ。
最悪の場合、家に帰る事すらままならない。
「愛されたいなぁ、、、」
何度目か数えきれないほど、考えた事だ。
ネット小説に出てくる、優しくて、敬語を使う、礼儀正しい男の子、『日本』。
その底抜けの優しさと、持ち前の礼儀正しさで周りの国々を虜にしていく日本。
愛される子とは『日本』のような子だ。
鈍感で、なおかつ優しい。
これに惚れない国などいるのだろうか。
それに対して私はどうだ。
優しくはないが、礼儀は多少ある。
鈍感なんて物はない。
むしろ神経質だ。
そんな私達『日本』の共通点は、性別と敬語と見た目だけだ。
私には、愛され体質なんてものはない。
愛される貴方と、愛されない私。
この溝は、なによりも深く、何をしても、埋められない。
だから、愛されなんて、無理だ。
もう、この年になってしまえば、諦めが着いた。
例えば、中国さんに私の事どう思ってるか、と聞くとする。
それの回答には、「好き」なんて甘ったるい恋愛感情なんてなく、日本に対する皮肉と嫌味、憎悪が飛び交っている。
親日国の台湾、パラオ辺りは、友人として、恩師としての「好き」は言われるだろう。
例え親日国と言えも、友人以上には成れない訳だ。
良く愛されで見かける、ヨーロッパ達と話した事は多いとは、あまり言えない。
強いて言うと、イギリスさん、ドイツさん、イタリアさん、フランスさんまでは話したことがある。
一言挨拶しただけを話すと捉えるかは不思議だが。
ヒーローがいれば良いのに。
助けてくれないかなぁ、、、
2Pの日本でも来ないかなぁ、、、
日本が、助けてくれないかなぁ、、、
私は結局人頼み。
自分では、なにもすることができない。
助けられるのを、ただただ待つだけ。
こっちの世界の日本は、世界の主人公ではない。
取り合われるような魅力すらない。
ただのモブだ。
常任理事国の道を塞げるほどの力も、思いもない。
道を退く事ならばできる。
ただ、それだけ。
常任理事国の日常を眺める、モブ。
そう考えていると、
???「「「うわぁぁぁぁ~!!??」」」
何処からか、悲鳴が上がった。
悲鳴の元は、天井だ。
そこには、良く憧れた、良く憎んだ、見覚えのある姿が写っていた。
一瞬、光の加減で、天使に見えてしまった。
それほどまでに、憧れていたのだ。
「おいアメカスっ!日本から手を離すアルよ!」
「HAHAHA、それは無理なお願いだぜっ!」
「お二方、止めてくださいよ、、、」
「というか、あそこに人が居ますよ、、、ってそっくりな私!?」
自分の中の、何かが動き出した。
何か、は今の私にはわからない。
分かることは『何か』が動いてしまったからには、止まらない。
カチ、カチ、カチ。
もう、止まらない。
私の、私だけの、ヒーロー、
そう考えるのには、さほど時間は要らなかった。
いつの間にか、そう呟いていた。
見てくれてる人はいないと思いますが、続きあります!
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