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第一セットは烏野が先制。
第二セットは打って変わって青城の洗練されたプレーに圧され青葉城西が追い返す。
第三セット。いがみ合う両者。
なかなか決まらないマッチポイント。
30点代に上がったとき飛和が言った。
「 最後の一点…決まんねぇ…早さか…? 」
「 あらら、飛和。言ったでしょ?早けりゃいいってものじゃないんだよ? 」
十磨は淡々と言った。
「 それにスパイカーが打たなきゃ、意味が居ないよ。飛和、コートには6人いるんだよ 」
「 お前だけじゃない 」
そしてまたラリーが始まる。
桜芽sid
31‐32
青葉城西が先制してる。
どうにか、どうにかして。
勝たないと。
翔陽にかっこいいとこ見せないと。
烏野のテンポは上がる一方。
そして最後。
飛和からのトスにテンポが合わなかった。
ボールは烏野のコートに無慈悲にも落ちる。
試合終了。
勝者、青葉城西高校。
あぁ、俺が…俺が…俺がちゃんとさっき打っていれば。
罪悪感にかられた。
俺は帰り、翔陽に会った
「 試合、お疲れ様 」
「 来てくれてたんだね… 」
「 桜芽、超かっこよかった。成長したな… 」
一気に目尻が熱くなった。
滲む視界と溢れ出る悲しみは耐えれるものじゃなかった。
「 おれ…翔陽がみ、見に来てくれたから…かっこいいとこ…見せたかったのに… 」
「 おれ…翔陽にバレー教えて貰って…こんなすごくなったって…言いたかったのに… 」
泣きじゃくる桜芽の横に日向はしゃがんだ。
「 なぁ桜芽 」
「 俺、元はバレーへったくそでさ。 」
「 え、日向が…? 」
「 うん。 」
「 俺さ、背もこんなんだしタイミングも下手くそで、レシーブも苦手で、サーブも苦手でさ。 」
そうして少し笑って
「 ダメなとこばっかだった 」
と笑う。
「 でも俺悔しくてさ、試合終わってからいっぱい考えた 」
「 どうしたら強くなれるかとか、どうしたら勝てるかとか 」
「 だけど結局一番大切なのは自分を信じることなんだよ 」
「 俺ならいける!勝てる!って思うことがなにより自分を強くすんだよ 」
「 信じて…頑張って…でも… 」
「 桜芽は確実に強くなってる。 」
ぎゅっとしてくれる翔陽。
ブラジルに居た時も俺が泣いてたらぎゅってしてくれたな。
頬に当たる翔陽の癖っ毛が、翔陽の温もりがなんだか俺を落ちつせた。
「 おれ、かっこいいとここれからも翔陽に見せるからさ。 」
「 待っててね、翔陽 」
俺は涙を拭って精一杯のぎこちない笑顔で言う。
「 おう。じゃあさ、今度は春高で見せてくれよ。桜芽のかっこいいとこ 」
にっと笑う翔陽の顔は太陽みたいに俺を照らした。
そして俺達は家へ帰った。
「 次は俺だなぁ…スペシャルマッチ… 」
「 スペシャルマッチ、東京だよね…俺新幹線乗んの初めて… 」
「 でも桜芽、部活の子達と行くでしょ?きっと大丈夫だよ 」
「 だよね!スペシャルマッチ、影山選手来るね。楽しみだね 」
「 そうだな、楽しみだな!! 」
あぁ、翔陽は翔陽なんだ。
当たり前のことが今俺が一番欲しいこと。
俺は世界で活躍するバレーボール選手。
日向翔陽と飯を食ってる。
こんな奇跡、あって良いのだろうか。