「都愛、帰るよ」
講義が終わってぐでーっと机に上半身を預けていたら上から聞きなれた声。
顔だけ動かして声のする方を見ると
高校の頃から仲良くしてくれてる刀也がいた。
『あぇ、なんか約束してたっけ?今日』
「してないけど、都愛朝からなんかふわふわしてるし。」
「ほって帰ったら車にでも轢かれてそうだったから一緒に帰ってやろうかなって」
『嘘、そんな変?今日』
「普段から見てる僕がそう言うんだからそうでしょ」
昨日ちょっと泣いたからかな。まだ気持ち切り替えられてないからかも。
どっちにしろローレンのせいだよ。
なんて心の中で色々考えているとほら行くよって
さりげなく荷物を持ってくれる刀也。ほんと優しいやつ。
刀也とは高校3年間同じクラスでなにがきっかけだとか
そんな細かいことは覚えてないくらいにずっと一緒にいる。
わたしが元気ない時とか体調が悪い時とか本調子じゃない時に
真っ先に気づいてくれるのはいつも刀也で
恋とか愛とかそういうの一切抜きで大切な存在。
「……僕、今日甘いもの食べたい気分」
『え?珍しいね、刀也から言うの』
「そう?付き合ってよ」
『いいけど…』
ありがと、なんて笑う顔が綺麗で少し、ドキリ。
『わたし刀也と友達でよかったなあ』
「なんだそれ」
『そのままの意味』
だって一人でいたらまたローレンのこと考えて悪い方向に気持ちが向いちゃってた。
いつだって雰囲気で察してくれて外に連れ出してくれる刀也には頭が上がらないや。
なんだかご機嫌になった刀也の横顔をみて
わたしの足取りも少しだけ、すこーしだけ軽くなったような気がした。







