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うつむきながら黙っている弥生。



「ごめんね。もっとちゃんと良いアドバイスができたらいいのに……私の話なんて説得力ないよね」



何だか自分がもどかしくて、本当に申し訳なく思った。



「ううん、彩葉の言う通りだよ。しみじみそう思う。うん! それ、大正解!」



私に対して茶化してみせた弥生は、涙を流しながら一生懸命笑ってた。



「幸せになれないって……心の中ではずっと気づいてたのにね。何か踏ん切りつかなくてズルズルして。私、ダメな女だから……」



「何言ってるの! 弥生はダメじゃないよ。私は弥生に1番助けてもらった。今だって、弥生のおかげでいろいろ頭の中が落ち着いていってる。弥生は素敵な女性だよ。人間としても、とっても素敵な人」



本当だよ、心からそう思ってる。



「嬉しいこと言ってくれるんだね」



「当たり前だよ。弥生が、好きな人のことをそんな簡単に切れないのもわかる。痛いほど……わかるよ。誰だって、ちゃんと決められない。いろいろあって、なかなか割り切れない。だから、自分のこと、ダメな女だとか言わないで。でも、やっぱり……」



弥生への思いが溢れて、私まで泣いてしまった。



「うん、わかってる。彩葉の気持ち、嬉しい。ちゃんとしなきゃね。本当に……ちゃんと……しなきゃ」



「大丈夫、大丈夫だよ。弥生は必ず幸せになれるから」



「なれるかな……うん、でも、彩葉に言われたら素直に嬉しい。本当に幸せになれる気がしてきた」



「うん、絶対だよ」



「彩葉、ありがとう…今日は彩葉の相談会なのにね~ごめんごめん。とにかく、彩葉は絶対に慶都さんにしな。雪都君のためにも。理久先生は、可哀想だけど彩葉をあきらめなきゃね。私はずっと理久先生が彩葉を好きだってわかってたから、ちょっと残念だけど」



「えっ!?」



嘘でしょ?



「実はコソッと2人を応援してたんだ~」



「そ、そうだったの? びっくりした」



「彩葉が鈍感なだけだよ~ずっと2人の近くにいて、理久先生の態度見てればわかったよ。私の鋭い観察眼をあなどらないでね。まあ、雪都君のことがなければ、理久先生のこと、もう少し推したかも知れないけどさ」



「う、うん。でも、本当に弥生はすごいね。私は……やっぱり全然そういうの鈍いみたい」



「確かに鈍い。致命的に鈍いよ」



うんうんって、うなづいてる弥生。



「そんなに鈍い鈍いって言わなくても。一応、ちゃんと自覚してるんだからね」



「ごめん、ごめん~でもさ、鈍い方が可愛いよ。彩葉はさ、本当に優しくて、私なんかよりずっと素敵なレディなんだから。一堂 彩葉は「九条 彩葉」になるべきだよ。マリエだっけ? そんなライバルなんか蹴散らしてしまいな!」



マリエさんのこと、いきなり呼び捨てになってる。



「あ、ありがとう。今日、弥生と話せて良かった。感謝しかないよ。あとは自分なりにしっかり考えてみるね」



「うん、うん。それがいいよ。最後は自分だもんね。自分で出した答えしか、結局はちゃんとした「正解」じゃないんだよね」



「うん、そうだね。1番の正解、出したいな……」



「彩葉の正解、私の正解、また答え合わせしよ!」



「だね。あ、あとね、今度、花火大会あるでしょ?」



「あっ、うん。あれ行きたいよね~あの花火大会、たくさん上がるし、ものすごく綺麗だもんね」



「私、慶都さんに誘われたんだ」

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