【まさか僕が二人から愛されるなんてッ】
学園長室の夜にて
放課後の廊下は、もう誰の足音も残していなかった。
窓の外には夕闇が滲み、わずかに差し込む橙の光が、磨かれた床に長い影を落としている。
晴明は学園長室の扉の前で、一度だけ深く息を吸った。
呼び出された理由は告げられていない。ただ、胸の鼓動だけがやけにうるさい。
コンコンと扉を叩く
「どうぞ」
穏やかな響いた声に導かれ、扉を開ける。
重厚な香木の匂いが漂い、部屋の奥には二人の姿。
机の向こうの学園長と、その傍に立つ蘭丸。どちらも、普段より穏やかでいて、そして緊張感溢れる表情をしていた。
「急に呼び出してしまってすみませんね、晴明くん」
「……いえ、大丈夫です。何か、ありましたか」
学園長は椅子から立ち上がると、ゆっくりと歩み寄った。
その視線には、いつもの冷静さとは違う熱が宿っている。
「晴明くん。私はね、ずっと君を見てきた。君の真っ直ぐな瞳も、時折見せる不安な表情も——全部、愛おしく思うようになってしまった」
一瞬、時間が止まったようだった。
驚きの息が喉で凍る間に、蘭丸も歩み出る。
「僕も同じ。君が笑うたびに、胸の奥が痛くなるんだ」
二人の告白が重なる。
「「”好きだ”」」
まるで旋律のように響き、晴明の胸の奥を震わせた。
「……そんな、二人とも……」
返す言葉を探すが、どの言葉も、どれも違う気がした。
「ごめんなさい。そんなこと、考えたこともなくて……」
蘭丸がそっと微笑んだ。
「いいよ。今すぐ答えはいらない。だけどね——」
その瞳に、わずかないたずらの光が宿る。
「僕たちは諦めない。君が僕たちを好きになるように、ちゃんと証明してみせる」
学園長の声が重なる。
「心も、体も……すべてで君を包みたい。それが叶う日まで、待つつもりはないよ。」
言葉の意味を理解した瞬間、晴明の頬が熱を帯びた。
二人の気配が、少しずつ距離を詰めてくる。
その空気は決して強引ではなく、穏やかで、甘く、逃れがたい。
指先が触れた。
それだけで、世界が音を失った。
静寂の中、視線が絡み合う。
深く息を吸う音、わずかな震え、そして、触れ合う温度。
「…んっ……ぁ”ッ……」
何かが溶けていく。
拒むことも、認めることもできず、ただその温もりに身を委ねる。
——気づけば、夜が深まっていた。
外の灯が消え、窓に映るのは三つの影。
それはゆっくりと重なり、やがて一つに溶けていく。
晴明はふと、胸の奥の痛みに似た温かさを覚えた。
「どうして……こんなに、苦しいのに」
「好きになってしまうんだろう……」
学園長の腕が彼を包み、蘭丸が静かにその髪を撫でた。
「ようやく、本当の君に会えた気がする」
その囁きは、夜の闇よりも優しかった。
こういうエモい系のやつどうですか?
頑張って書いてみました、気に入ってくれるとうれちいな。
コメント
9件
純愛いいっすね
エモい奴もかけるとか本当に天才過ぎない??????? 好きだよまじで😘😘😘😘
R入れなくてもこんなにエモいんですね。えもすぎて好きにありました!