テラーノベル
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朝の空は 、残酷なほど青く澄んでいた 。
王都中央の処刑台には 、すでに人混みができていた 。
怒りも 、憎しみも 、歓声もない 。
ただ「戦争が終わる」という期待だけが、重く漂っていた 。
主人公は 、白い衣を着せられて立っていた。
鎖は外されている 。
鎖なんてなくても 、琥珀の王子にとって逃げる理由は無かった 。
視線の先に 、翡翠の王子がいる 。
軍事国家の第一王子 。
処刑執行人 。
今日 、英雄になる男 。
鎧に身を包み 、剣を携えたその姿は 、
昨夜 、自分が胸に顔を埋めた人間とは別人のようだった 。
____ そう 、それでいい 。
琥珀の王子は 、そう心の中で唱えた 。
王子は 、個人であってはいけない 。
だからこそ 、自分はここに立っている 。
台の中央へ進み 、膝をつく 。
祈りの言葉を述べる機会は与えられなかった 。
代わりに 、攻が一歩前へ出る 。
「… これより 、刑を執行する 。」
声は揺れていない 。
完璧な王子の声だ 。
琥珀の王子は、ゆっくりと顔を上げた 。
視線がぶつかる 。
ほんの一瞬 。
だが 、その中に昨夜の温もりが確かにあった 。
琥珀の王子は 、小さく微笑んだ 。
翡翠の王子以外の誰にも見られないくらいに 。
それは民に向ける“光の王子”の笑顔ではない 。
ただ一人にだけ向ける、静かなものだった 。
( 大丈夫です )
そう言っているように 。
翡翠の王子の手が 、剣を握り直す 。
指先が 、わずかに震えた 。
____ やめろ 。
____ 今さら 、思い出すな 。
昨夜の体温 。
心音 。
「夜が明けなければよかった」という、愚かな願い 。
全てを、切り捨てろ 。
“pr”
そう 、自分に言い聞かせた 。
「…」
剣が 、振り上げられる 。
その瞬間 、琥珀の王子が小さく口を開いた 。
「… ありがとう」
彼の声は 、風に紛れて消えそうだった 。
だが 、確かに届いていた 。
____ 来てくれて 。
____ 触れてくれて 。
____ ひとりの人間として 、見てくれて 。
翡翠の王子の視界が 、一瞬歪む 。
「… ッ」
だが 、剣は止まらない 。
王子は 、選ばなければならない 。
国か 、個人か 。
未来か 、今か 。
最後まで「斬りたくない」という言葉が 、頭の中を過ぎっていた 。
剣が 、振り下ろされる 。
痛みは一瞬だった 。
琥珀の王子がその場に倒れる 。
翡翠の王子は 、とっさに体を支えていた 。
誰にも気づかれないほど 、ほんのわずかに 。
腕の中で 、琥珀の王子の体から力が抜けていく 。
「… あたたかいですね」
微かな声 。
「… 黙れ」
「… 貴方は 、ひとりの人間として」
「ただの人として 、触れてくれた 。」
「貴方のおかげで 、愛というものを知れた」
体温が 、失われる 。
先程まで暖かかった体が 、氷のように冷たくなっていた 。
翡翠の王子は 、しばらく動けなかった。
抱きしめていたい衝動を 、歯を食いしばって殺す 。
やがて 、ゆっくりと体を処刑台に戻す 。
立ち上がり 、民衆の方を向く 。
「____ 刑は 、執行された」
その宣言に 、どよめきが広がる 。
歓声はない 。
ただ 、戦争の終わりを噛み締める沈黙 。
翡翠の王子は 、英雄になった 。
王位も 、勝利も 、全て手に入れた 。
ただひとつ 。
二度と戻らないものがある 。
夜明け前 、
胸に残った体温 。
本当の自分 。
翡翠の王子は剣を鞘に納め 、空を見上げる 。
世界が 、灰色に包まれたような気がした 。
後日
「王子陛下 、お仕事で御座います」
遣いの声に 、ゆっくりと振り返る 。
「今は気持ちが落ち着いていないんだ 、」
「後にしてくれ」
「… 王子陛下 、貴方は王子です 。」
俺をひとりの人間として見てくれていたのは 、
あの人だけだった 。
今や俺は国の王子としか見られていない 。
「軍事団の書類です 。」
「確認宜しくお願いします 。」
目の前の机の上に 、ドサッという音を立てて積み上げられた紙の山 。
見ただけで吐きそうだ 。
「分かったから 、早く出ていってくれ」
数秒後 、扉の閉まる音が聞こえた 。
インクで直接書かれた書類に目を通す 。
彼のことしか考えられなくて 、集中できない 。
あの時 、剣を振っていなかったのなら 。
あの時 、牢から逃げていれば 。
彼は 、今も俺の横で笑っていたのだろうか 。
そんなことを考えているうちに 、水滴が落ちて書類のインクが滲んだ 。
ポツ 、ポツ 、と水が染み込んでいく 。
目の前がぼやついていて何も見えない 。
「… “ak” ッ 、」
泣いていた 。
自分でも分かるくらい 、泣いて泣いて …
akを忘れられなかった 。
彼の名前を覚えているのは 、
自分一人だけだった 。
────────────✄
はい ッ 、
バッドエンディング 、どうでしたか ?
これにて完結になります 。
が … 、
反応が良かったらハピエンも書こうと思います !!
この話伸びてて嬉しいです 😭✨
では !
𝒉𝒂𝒑𝒑𝒚 𝒆𝒏𝒅𝒊𝒏𝒈 ⇝ ??? ♡
コメント
10件

初コメ失礼します‼︎‼︎ もうほんとにめちゃくちゃ良すぎました、、、✨🫠話良すぎて水分持ってかれました😭😭
一気見失礼します !🙂↕️💫 語彙力ありすぎやしませんか?? ハピエンめちゃ見てみたいです … ‼️
本当に良いお話でした!! ハピエンも見てみたいです!!!!