テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
しんとした沈黙の中、五人は互いを警戒しながらも動けずにいた。足音さえ立てれば、この異様な空間にひどく響いてしまいそうで、息を殺すしかない。
その時だった。
???「――ようやく目覚めましたか」
不意に、天井から低く響く声が降ってきた。
金属の共鳴を含んだような、機械を通した冷たい声音。男か女かも判別できない。
🇰🇵「っ……誰だ!?」
最初に声を上げたのは北朝鮮だった。だがその声には、威勢よりも怯えが混じっていた。
皆の視線は声の主を探して天井をさまよう。だがスピーカーの位置すらわからない。
マスター「自己紹介は必要ありません。私はここを管理する者……そうですね、『マスター』とでも呼んでおきましょう」
声は淡々と告げる。
フランスが舌打ちをしながら睨み上げた。
🇫🇷「ふざけてんの……僕たちをここに閉じ込めたのはあんたでしょ」
マスター「ええ。正確には――あなた方自身が望んでここに来たのですよ」
その一言に、場の空気が凍りついた。
イギリスは眉をひそめる。
🇬🇧「……望んで、ですか。記憶が曖昧なのは、そういうこと…」
マスター「さあ、それはどうでしょう」
マスターは、くすくすと笑った。
マスター「ですが、一つだけはっきりしています。この場所から出たければ……互いに相談し、決めなければならない。方法は、あなた方次第です」
言葉だけなら、ただの条件説明にすぎない。だがその直後、マスターは言葉を区切り、静かに続けた。
マスター「理解しやすいよう、見せた方がよさそうですね」
――ガタン。
不意に、暗がりの一角から重い音が響いた。
全員の視線がそちらに吸い寄せられる。
そこには、いつの間にか椅子が置かれていた。その椅子には、無表情のマネキンが座っている。白く無機質な顔。首には、彼らと同じ金属の首輪が巻かれていた。
🇰🇵「っ……!」
北朝鮮が息を呑む。
フランスが「なんだよ、これ……」と呻きながら後ずさった。
マスターの声が落ち着き払って響く。
マスター「これはただの人形。しかし、皆さんの首に巻かれたものと同じ装置を取り付けてあります」
カチッ
小さな音がした瞬間、次いで爆音が響いた。
バンッ!
マネキンの首から上が、爆風と閃光で跡形もなく吹き飛ぶ。破片と焦げた破布が宙を舞い、床に散乱した。鼻をつく焦げ臭さが一気に広がる。
🇨🇳「ケホッ…っ」
誰もが声を失った。耳鳴りがする。床に転がるのは、砕けたマネキンの白い断片と、まだ熱を帯びた金属片。
ロシアですら、驚きを隠せていない。
🇷🇺「……は?」
イギリスはただ黙って眉をひそめ、フランスは青ざめた顔で隣に寄り添う。
🇬🇧「……」
イギリスは、無理に平静を装い、ゆっくり口を開いた。
🇬🇧「……つまり、我々の首も……あの人形と同じ、ということですね」
その声音は淡々としていたが、イギリスの指先はかすかに震えていた。
マスター「ええ。理解が早くて助かります」
マスターの声は愉快そうに笑った。
マスター「――逆らえば、こうなる。それだけは覚えておいてください」
不気味な沈黙が落ちる。
やがてマスターの声は遠ざかるように掠れ、消えていった。
残されたのは、首元の重みと、まだ鼻につく焦げた臭いだった。
なんか、結構私としては神作になる気がするんだけど。(自画自賛)
ではまた!
コメント
2件
比喩とかがたくさん使われてて面白い!絶対神作になります✨いや、なってます👍