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そして、二人の努力が実を結び、未来の記憶とは全く違う、穏やかな日々が続いた。
スカウトマンは、蓮に二度と接触することはなかった。
メンバー間の不協和音も生まれず、JO1は絆を深めながら、デビューの道をひた走った。
ある日の夜、奨は自室で、タイムスリップしたときに持っていた、未来の集合写真を眺めていた。
写真に写る自分と蓮。
疲労に満ちたその顔には、今の彼らが持つ、希望に満ちた輝きはなかった。
その時、写真の裏に書かれた、未来の奨のメッセージが、再び光を放った。
「奨、蓮を守ってくれ。お前が未来を変えるんだ」
文字が、薄い光の粒子となって、宙に舞っていく。
そして、その光が、奨のスマートフォンに吸い込まれていく。
スマートフォンを開くと、見慣れないメッセージアプリのアイコンが現れた。
それは、未来の奨から、今の奨に向けた、最後のメッセージだった。
『奨、未来を変える使命は、お前と蓮が成し遂げた。未来では、俺たちの愛が、JO1を壊す原因になってしまった。だが、お前たちは、その愛を、皆を繋ぐ力に変えた。俺たちの愛は、JO1を壊すものじゃなかった。それは、時空を超えて、お前たちを救うための、運命の鍵だったんだ』
そして、最後に、こう書かれていた。
「これからは、未来の記憶に頼るな。お前たちの手で、お前たちだけのJO1の未来を創り上げていけ」
奨は、メッセージを読み終えると、安堵と、かすかな寂しさが胸にこみ上げた。
未来の奨の存在は、もうこの世界にはない。
だが、彼が残した愛とメッセージは、確かに奨の中に生きている。
その夜、奨は蓮を強く抱きしめた。
未来の蓮が、全てを犠牲にしてまで守ろうとした愛。
未来の奨が、最後の力を振り絞って託した希望。
二人の愛は、過去と未来を超えて、今、この瞬間、たった一つの形になった。