「それにしてもグレースホテルで結婚式って、どんだけセレブなの? 私達まで2泊もさせてもらって、ちょっとお姫様気分だよ~」
「何だかこの雰囲気だけで気分上がりますよね。ところで九条さんと雪都君は?」
「ごめんね、今、ちょっとここの総支配人さんと話してて。後で改めてご挨拶するね」
「あっ、はい。久しぶりに雪都君にも会いたいです」
「雪都も2人に会ったらきっと喜ぶと思う。まずは、少しゆっくりしてね。ここは遊ぶところも買い物するところもたくさんあるし、理久先生も弥生も、せっかくだからめいっぱい楽しんで」
「こんなセレブな経験なかなかできないし、お姫様気分で高級リゾート満喫しなきゃね。理久先生、いっぱい付き合わせちゃうから覚悟してよ~」
「ちょっとその勢い怖いですよ。でも、まあ、僕も楽しみたいです」
何だかこの2人、前よりもすごく気が合ってるみたい。
新しい1歩を踏み出した弥生は、すぐに保育園を辞めて、今度は別の場所で保育士として働きだした。
その後しばらくして、理久先生も辞めてしまって、弥生とは違う、また別の保育園に移った。
3人はバラバラになったけど、でも、友情は決して変わることはなく……
今でもこうしていられることがすごく嬉しかった。
そうそう、私が保育園を辞める時、たいちゃんに「先生の嘘つき~彩葉先生はたいちゃんと結婚するのに~」って泣かれたけど……
そんな可愛い子ども達に囲まれて、私は本当に幸せだったと思う。
数年間の保育士としての経験は、これから先の人生で、必ず役に立つと信じてる。
いつかまた保育士として復帰できたらいいなぁって、この思いは密かに胸の中にしまってあるんだ。
それから時間は過ぎ、夕方になって、また嬉しいお客様が来てくれた。
「慶都おじさん! 彩葉先生~おめでとう」
慶都さん側の友人として、真斗君とお父さんもわざわざここまで来てくれた。
「真斗、よく来てくれたな」
「うん! 慶都おじさん、彩葉先生、結婚おめでとうございます」
真斗君は、小さな手を振りながら元気に言ってくれた。
「上手に言えたな。ああ、ありがとうな」
慶都さんは、優しい眼差しで真斗君を見た。
ずっと可愛がってた園児とこんな遠い国で会えるなんて、何だか不思議な感じがした。
「真斗君、ありがとう。パパといっぱい楽しんでね」
「うん、後でパパにアイス買ってもらうんだ~! あっ!! 雪都だぁ! 遊ぼ~」
「わ~い! 真斗君だぁ、遊ぶ、遊ぶっ」
少し離れていた雪都を見つけて、お兄ちゃんみたいに可愛がってくれる真斗君。
雪都も大喜びだ。
「真斗、ホテルから出て遠くへは行かないこと。みんなが見えるとこにいるんだぞ」
「はーい、パパ」
「はーい、パパ」
真斗君の真似をして返事をする雪都。
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