TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

​「あ、よろしくお願いします……」


​ 私は蚊の鳴くような声で挨拶するのが精一杯だった。


成瀬先輩は、私よりずっと背が高くて、スラリとした手足がジャージの上からでもわかる。凌先輩と並ぶと、まるで雑誌の表紙みたいに絵になっていた。


​「凌、あんまり新入生を驚かせちゃダメだよ? ……あ、君。さっきからずっと一生懸命見ててくれたよね。テニス、興味あるの?」


​ 成瀬先輩が優しく微笑みかけてくれる。でも、その余裕のある態度が、今の私には一番眩しくて、苦しい。


​「あ、いえ……その……」


「こいつ、マネージャーやりたいとか抜かしてたんですよ。バカですよね」


​ 隣で黙っていた遥が、突き放すように言った。凌先輩は驚いたように目を丸くする。


​「えっ、紗南ちゃんが? それは嬉しいな。なあ成瀬、どうかな」


「うーん……気持ちは嬉しいんだけど、今年はもう人数が足りてて。それに、うちは三年の引退までかなりハードに追い込むから、初心者の子が今から入るのは、ちょっと厳しいかもしれないかな……」


​ やんわりとした拒絶。


凌先輩は少し残念そうに「そっか……」と呟いて、私の頭をポンと叩いた。


​「残念だったね、紗南ちゃん。でも、応援に来てくれるだけでも力になるよ。な?」


​ 先輩のその言葉が、とどめだった。


私は『チームの一員』になりたかったのに、結局はただの『近所の妹』。外側の人間なんだ。


​「……ですよね。急にすみませんでした!」


​ 私はたまらず背を向けて走り出した。


後ろから凌先輩が「紗南ちゃん!?」と呼ぶ声が聞こえたけど、止まれなかった。


​ 校舎の影まで来て、ようやく立ち止まる。


悔しくて、情けなくて、視界が滲む。


​「……だから言っただろ。三秒で振られるって」


​ すぐ後ろから、呆れたような、でもどこか落ち着いた遥の声が追いかけてきていた。

となりの加賀美くん

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

16

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚