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――コンコンコン、ガチャ…
「ロー? いる?」
扉を少し開けて中を伺う。
「ジェディ? どうした」
「えっと……少しローの部屋にいてもいい?」
そう言うと、ローは黙ったまま俺を見つめて、それから短く息を吐く。
「入って来い」
「うん、ありがと」
許可が出たので中にお邪魔する。ローはベッドに座って、俺に隣に座るよう促してきた。その通りにすると、頭を撫でられる。
「……何かあったんだろ」
「んー、まあ、そうなんだけど……。別に俺に何かがあったわけじゃなくて…」
言い淀む俺を見て、察したのかローは何も言わずに俺の背中をさすってくれる。
「…ふへへ、ごめんな。ありがと。……火拳のエースの処刑の話、知ってるよな」
「昨日な」
「俺は彼に会ったことはないんだけど、彼の話はよくルフィに聞いていたんだ」
「麦わら屋に? どんな繋がりが?」
「義理の兄弟なんだよ、彼ら。盃を酌み交わした兄弟。……あ、他の人間には言うなよ。ローや、ローの仲間だから話すんだからな」
そう言うと、ローがこくりと頷く。俺はそれを確認してから、言葉を続けた。
弟のように大事にしているルフィの兄が処刑される。それを知ってからずっと心臓がざわついて仕方がない。――と。
「お人好しがすぎるってことはわかってるんだ。会ったこともない人間に対して胸を痛めていることがおかしいってこともわかってるんだ」
それでも、心が痛い。
そう続けると、ローは俺の肩を抱き寄せた。そのまま引き寄せられて、ローの胸に耳を当てる形になる。トクントクンと規則正しく刻まれている鼓動が聞こえてきて、不思議と気持ちが落ち着くような気がした。頭を撫でられる。
「考えすぎだ」
ローの低い声が心地良い。なんだかうとうとしてきた。眠気に誘われるがままに目を閉じると、ゆっくりと意識が遠のいていく。
眠りにつく直前、頭に優しいキスの感覚が降ってきた気がしたが、俺はそれに気付かないふりをした。