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「もー、全然ダメだよ。こいつが、出しゃばるからさあ」部員の一人が声を上げ、周りがそれに合わせて笑う。言われた本人だけが、抗議の声を上げてナンパした女の子の様子に付いて話している。
「お前らただでさえ、ごく普通の猿みたいななりしてるんだからさ、もっと引き気味にいったら」
従兄弟がそう言うと、納得がいかないような顔で田中と、他の部員がそちらの方を見る。
稲葉の顔を見ると、何やらわけ知り顔で耳を傾けているように見える。
「お前、何やってんだよ」
部員が砂浜に一人座っている樹に声を掛けると、そこにいる全員が声を上げて笑う。
ふと見ると、張本人の稲葉もそれを見て笑っている。樹は、思わず自分の水着の部分を見るが、ついさっき稲葉が念入りに砂を掛けてくれたせいで何事もなかったかのように砂で埋められているだけだった。
駅で別れを告げた後で、それぞれが帰路に着くためにばらばらと歩き出す。
樹も電車に乗るために改札の方へと向かうが、ふと気づくと稲葉が隣を歩いていることに気がつく。
「お前、こっち…じゃないよね」
「うん。…中本、時間ない?」
「え…」
樹は、稲葉の顔をジロジロと眺める。
「ナンパも失敗したしさ。ていうか、お前行ってないのか」稲葉は見つめ返しながら、そう言う。
樹は立ち止まったままで顔を赤くする。
「その辺のトイレでも入ってしてみる」
「お前、ばかなの?」
「…」
稲葉は、そっと隣に居る樹の指先を握る。樹はドキリとして稲葉の方を見る。
「俺の家来る?」
まさか、…そう言おうとして稲葉の顔を見つめるが、樹は確かにそれのどこに問題があるのかが分からなくなる。
悶々としながら駅構内を二人で歩き、樹は腕時計を見る。時間は5時過ぎを指していて、まだ親から帰宅を問われる時間でもないなと思う。
「そっちじゃないよ。こっちこっち」
稲葉が当然のようにして階段の方へ向かっていた樹に声を掛ける。迷っていた樹は稲葉の顔を眺めたまま立ち止まる。
…数ヶ月前に別れた彼女と、部員同士で夜遅くまでゲームをしていただけの休日を思い出しながら、稲葉が呼び止める方へと向かう。
マンションのエレベーターを上がり、3階にある稲葉の家のドアの前に立ち、鍵を開けるのを見守っている。
中に入ると、母親が明るい声で出迎え、稲葉の肩越しに見た樹の顔を見て一瞬固まる。それも、向こうからすれば特に不自然な間ではなかったらしく、「友達?」と声をかけられたあとは笑顔のままの稲葉に促されて樹は廊下を歩いて部屋へと向かう。
「お前の家、友達とか呼ばないんだ」
「そー。よくわかったね」
部屋に入るなり稲葉は荷物を下ろして、上着を脱ぎ始める。
「うわ…シャワー浴びてえ。行って来てもいい?」
「え、うん」
樹は稲葉の背中を見た後で所在なげにあちこちを見回しながら、自分が座れる場所を探す。
稲葉はそんな樹の事をニヤニヤと見ていたかと思うと、後ろから樹の腰に手を回す。
「なーんてね。…つづきしたくて堪らなかったんじゃない?」
「……、」
樹が戸惑っていると、後ろにあるベッドの上に、稲葉が樹の身体を押して座らせる。
「お前…ヤリチンじゃん」
カチャカチャと樹のズボンのベルトに手を掛ける稲葉を見ながら、樹は力無く言う。
「そんな事ないよ」
「どこが」
「ん?だから…俺は一人の相手としかしてない」
樹はつい先程の海での事を思い出す。ナンパから戻って来た部員に声を掛けていた稲葉、それから…砂を手で掬い上げていた顔。
稲葉は樹の身体を押し倒して、ベッドに寝かせる。樹はそこに横たわり、稲葉が自分のズボンをずり下げているのを見ている。
「一人の相手って…」
「……」
稲葉が、樹のペ◯スに指でつかみ、唇で触れている。くすぐったさに、樹は身震いをしそうになる。
「この間思ったけどさ、中本は童貞じゃないんだ。…彼女と結構してたの?」
稲葉が樹の顔を見上げて言う。舌で樹のモノに悪戯っぽく触れている。
「お前こそ。その、白川って奴としてたんだろ」
「うん」
「それで、退学騒ぎになったっていうこと?」
「そうだよ。アイツはすごく暴力的だからさ」
「、、、」
稲葉が樹のペニ◯を咥えて、中で舌を動かし始める。
「ちょ、…まって」
「ふぁふぁふっへひは」
「なに?」
稲葉が構わずに、唇で樹のモノをしごき始める。
「ちょ、、待てって」
樹は自分の身体を起き上がらせ、稲葉の肩を掴もうとする。
稲葉も樹の勢いに動きを止めると、顔を上げて樹の顔を見る。
目の前にある互いの顔を見つめ合ったままで、数秒の間固まっていた。
「お前さ、ためらいとかないの」
樹が顔を赤くして言う。稲葉はその顔をジロジロと見た後でぷっと吹き出す。
「かわいいな。ちんこ立てちゃって」
樹はそう言われて、再び赤面する。自分だけがズボンを下ろして、パンツの中身も露わにしている…
「ていうかさ、母親とか来たら…」
「大丈夫だよ。鍵、かけてるし」
「…」
「口より、入れる方がいい?」
稲葉はそう言うと樹の身体によじ登り、ベッドの上に仰向けに倒れ込んだ樹の顔を見下ろす。
「…なんでも」
「え。」
稲葉の顔を見上げながら、妙な気持ちになっていると思う。自分が、女の服を脱がせて、そういう雰囲気を作るんだと思っていたのに…
今日一日ずっと流されっぱなしで居る。
「お前さ…」
「…」
「めちゃくちゃ、◯ってるじゃん」
「…いや、だって…こんなことされたら、」
「あ、そーだ。忘れてた」
稲葉は樹の身体に馬乗りになったままで、ベッドの脇にある棚に手を伸ばす。
ごちゃごちゃの棚の中に置いてあるものの間から、化粧水のボトルのようなものを掴んで取り出す。
「…ねえ」
「あ、ごめん」
稲葉はそう言うと笑い、樹の胸元に置いていた手を離す。
「これ、しないと本当はキツイからさ」
「それ、なに?」
「ローションだよ。ドンキホーテとかで売ってるやつ」
「…ふーん」
樹はぼんやりと稲葉がローションの蓋に手を掛けるのを見ている。
「…て、これまだ後でかな」
「うん?」
稲葉はそれを傍らに置くと、樹の身体に折り重なるようにして顔を近付ける。驚いている間もなく、Tシャツの下に稲葉が手を滑らせていく。
「…海の匂い。」
「……、、」
「汗の…匂いかな」
稲葉が、手で樹のちく◯に触れる。
「声出してみて」
「…やだよ」
Tシャツをめくった稲葉が、舌で樹のちく◯に何度か触れる。
「…、」
「したくなるでしょ」
「…うん」
「…もう入るね。これ」
手で自分のペニ◯に触れられ、樹は稲葉のすることを見ながら、この間のことをようやく思い出す。
樹が稲葉のズボンに手を伸ばすと、稲葉は目の前でふっと声をあげて笑う。
「…俺もしてもいい?」
樹が稲葉の顔を見上げる。
「うん?」
樹はズボンのゴムの部分に手を掛けると、そのまま上にいる稲葉のズボンを少しずり下ろして手を入れ、下着の上から稲葉のペニ◯に触れる。
「…おまえは、入れられる方なの」
手で掴んだ後で、ゆっくりと動かしながら樹は言う。
「……。」
「ねえ」
「待って」
稲葉は樹の胸元から顔を上げ目を合わせたかと思うと、樹の口に唇を重ねる。
……、
「気持ちいい?」
キスから口を離すと、樹は下着の中に指を入れ稲葉の毛を掻き分けて、ペニ◯に触れる。
「あ、」
「ここ、触ったら女みたいな声出るんだ」
「ん…ちが、」
「この間も…。女みたいになるってこと?」
樹が稲葉の頬にキスしながら、ペニ◯を手で愛撫する。
「ちが…、
癖になってるんだよ」
「うん?」
「……きもち、…。入れる?」
「うん。いいの?」
「…」
「もう少しこうやってする?…それともなめる?」
「え…出来るの?」
樹は暫し稲葉の顔をじっと見ている。
稲葉は樹の肩に突っ伏しながら力を入れていた腕を伸ばして、樹の顔と身体をじろじろと見つめている。
「分かんないけど」
「舐めた事あるの?…女相手とかでも」
樹は少ない記憶を探ってみて、だいたいそういう流れでした時のことを思い出して頷いてみる。
稲葉は、樹の顔を黙って見ているだけだったが、樹が再び手を動かし始めると樹の口元に自分の顔を近づける。
「なんでもいいよ。…」