テラーノベル
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「仁人ッイクッ」
「あっあっあっ、イッでっはやとッ、おれの、中、だひえッ♡」
「イくッ仁人ッ、いく…!」
「ふあっ、あああぁああ〜〜〜ッ♡」
「くっ…!」
中に熱いものが広がりその刺激にまた俺は達した。
もうなにも出ない。
中から感じたことの無い程の快感が突き上げて、びくびくびくっと身体が痙攣した。
「んーーッ♡んんんーー♡♡」
「はっ…あっ、」
「出てぅッ、な、かッ…んっ、んっ」
「はっ、じん、と…」
ドクドクと、中に染み入りそうな程叩きつけられるように勇斗の精液が吐き出されて、意識が遠のく。
「あーっ、あっ…あっ…んん………、」
意識を手放す瞬間まで、勇斗を見ていた。
まるで睡魔に負けぬようにと精一杯目を開いて耐えた退屈な授業中のように、最後の時まで目を開けて…そのすぐ後、プツリと意識が途絶えた。
……………
…暖かい…温かい…?
身体を温かい体温に包まれているよう。
重たい瞼をゆっくりと開けると、そこは誰かの素肌の前だった。
勇斗の匂い……、
身体に回された腕と、ピッタリとくっついて離れない素肌にとても安心した。
「…」
「…」
頭の上でスースーと寝息が聞こえる。
今…何時だ?
見える範囲がまだ白んで薄暗い。
…鳥の声が聞こえる。
早朝なのかもしれない。
「……はやと」
「…ん」
「…はやと」
「…じんと」
「…」
寝惚けた声が聞こえた。
まだ半分夢の中なのかもしれない。
まだ唇が完全に開かれていない様な発音で名前を呼ばれた。
「……」
「…」
スウ、スウ、とまた規則正しい寝息が聞こえてくる。
寝ている勇斗の名前を呼ぶ者。
それが俺以外にも居たかもしれない。
その可能性を俺はもう知っている。
けど…勇斗は俺を呼んだ。
俺の名前を呼んだんだ。
「……どうして?」
「…」
まだ寝息は聞こえている。
「…どうして浮気したの?」
「…ん」
軽い気持ちだったのかもしれない。
バレないと思ったのかもしれない。
身体の熱が引いた今、改めて感じるどうしようもない現実が俺を苦しめ始めていた。
「……俺をどうしたいの」
「……じんと…?」
覚醒したような勇斗の声がした。
その瞬間回された腕に力が込められる。
抱き寄せられて、ピッタリと素肌がくっついた。
こんなに幸せなのに…どうして。
それでも一人で苦しむよりはマシだった。
「…いま…なんか言った?」
不安そうな声だった。
「……俺を…どうしたいの…って…言った」
「……」
黙って聞いていた勇斗が包んだままの俺の腕をきゅっと掴んだ。
「……俺は…」
「…」
「…仁人が離れてくのが…こわい」
「…」
「…あんなことしておいて…言える権利ないって…わかってるけど…」
「…」
「…仁人と…これからも…」
「…」
「…俺の隣にいて欲しい」
ゆっくりと身体を離されて目が合った。
「…仁人は…どうしたい…?」
「……俺は」
少し怯えたような勇斗の表情。
外で響く雀の声がやけに平和に聞こえて。
俺はこんなにも、苦しいのに。
「…勇斗と……一緒にいたい」
「…本当にそれでいいの?」
「…お前が…聞くな」
「…え?」
「強引に…俺を引き止めて見せろよ」
「…」
「浮気しました…でも離したくないって、言えよ」
「…」
涙を溜めて睨みつけた。
「お前が悪い。お前しか悪くない。」
「…そうだね」
「…今更悪者になることから逃げるな」
「…」
「…俺を離すな」
「…仁人」
「…絶対に離すなっ」
「…わかった、わかったよ」
「お前が悪いんだっ、だから俺から離れるなっ」
「…ごめん、仁人ごめん」
「う〜ッ…」
しがみ付いて泣いた。
勇斗の浮気がわかってから初めて、思い切り責めて泣いた。
腹が立ってしょうがない。
こんなに俺を好きなくせにフラフラと浮気なんかをした勇斗が許せない。
けど…
「仁人が俺を嫌いになっても、絶対に離したくないっ」
「うっ、うっ…」
「俺の傍にいてっ…」
「ふ…うっ…」
「仁人…」
ぎゅうっと身体が軋むほど抱き締められた。
「…仕方ないからっ…居てやる」
「…っ」
「けど…また裏切ったら」
「っ絶対にしない!」
「…」
「…」
焦燥感を感じさせる勇斗の焦り声がやけに心地よかった。
「…キスマ」
「え?」
「キスマつけさせて」
「え、え、」
ゴソゴソと布団に潜って勇斗の内ももにかぶりついた。
「あっ、」
「…」
思い切り口を窄めて吸い付く。
何度も何度も、そうした。
…………
「はあ…はあ」
数分後に布団から出ると俺は汗だくだった。
「…見ていい?」
「…いいよ」
恐る恐る勇斗がそっと布団をめくると、もう昇っていた朝日が勇斗の内ももを明るく照らした。
「うわっ」
「…」
点々と咲いた赤い花のように、そこはキスマークでいっぱいだった。
「…すげえ」
「…疲れた」
バフっと布団に倒れ込むと、いやに真剣な声で勇斗が言った。
「…やっぱ俺のこと…嫌いにならないで」
「……」
「すき、すきだよ」
「…」
「仁人しか、もう見えないから」
「……お前の言葉は軽い。すぐに許されると思うなよ」
「…ごめん」
「…消えたらまた付けるから」
「…わかった、」
申し訳なさそうだけどどこか嬉しさを隠せてないその声に腹が立ったが、これしか落とし所が無いことにも気付いていた。
今日は念の為に病院へ行く。
もちろん勇斗も一緒に。
でも、さっき見た勇斗の内ももに咲いた赤い花が、俺の恐怖を少しだけ軽くしてくれた気がした。
「俺……勇斗の前では…多分可愛くいたい」
「…へ?」
「…だから……こんなこと言わせんな、させんな」
「…」
「…俺が手綱を引く関係なら、終わりにするから」
「…わかった」
「…俺を大事にして」
「…するよ。大事にする」
勇斗はずっと必死だった。
少しだけ気分が晴れた。
俺を離さないで、俺から離れないで。
浮気をした勇斗をいつか許せる日がくるのかはわからない。
少なくとも今は忘れられる気がしない。
付けられた傷はきっと消えない。
けど、もう一度だけ…やり直してみよう。
…そう思った。
「仁人…俺の仁人、」
「…お前のだよ」
「…俺も仁人のものだよ」
「…本当に?」
「…本当だよ」
「これからずっと?」
「ずっと、ずっと仁人だけの俺だよ」
「…二度目はないから」
「うん、うん…」
やっぱりどこか腑に落ちないけど、もう手立ては無いだろう。
いつかの過去の自分が、こんなにも好きになった彼を…今もまだ愛していると泣いていた。
まだ諦められないと、胸を締め付けるほど訴えてくる。
…これからまた二人でやってみよう。
俺がまた不安定になっても、勇斗は見捨てないと信じてる。
今の勇斗に、嘘はない気がした。
何故かそう信じられた。
信じられる希望なんてないけれど、勇斗の隣に居られたらそれだけでいい。
もう二度と離さないと、誓った。
俺だけを見てる?
他の誰かを見ていない?
これから勇斗の腕の中で何度も確かめるだろう。
ずっと、続くかもしれない試練と愛情を抱えたまま俺たちはまた歩き出した……。
いつか、心からお互いを見て抱き合える時が来るのを願って…。
fin?
コメント
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読んだことのない作品でした…。「お前しか悪くない」という台詞にグッときました。罪悪感に苛まれる方の感情もリアルで、とても読み応えがありました。 愛や情がいつも幸せで正しい状態が続くことはない場合を、見させられた感じです。 ハッピーな作品ではないけど、これもリアルな感情ですね。